自慢じゃないが友だちには恵まれている。

みんないい奴らだ。女性の友だちも結構いる。

柴田亮介が、東京への転勤のため、引越の準備に、段ボールに本を詰めこんでいた。学生時代からの仙台での暮らしも短かいようでもう１０年近くになる。

この街で、たくさんの素晴らしい友人に恵まれた。自分が、家で、鍋をしようと声をかければ、みんな集まってくれる。つきあってくれる。

ホントいい奴らだ。

多くの後輩も自分のことを慕ってくれる。
あだなで気軽に呼んでくれる。

それでも・・・。

やはり仙台で、七夕花火を一緒に見に行ってくれる人がいたら、
大河原の一目千本桜の堤を一緒に歩いてくれる人がいたのなら、
自転車を二人乗りで、後ろに乗っける人がいてくれたのなら・・・

どんなに素晴らしいことかと、亮介はつい思ってしまうのだった。

ずっと同類だと思っていた、力哉も陽之助も、いつの間にか、僕を置いて行ってしまった。いや、置いて行かずに、こちらに手招きして待ってくれている。

それがまたちょっぴり切なかったりする。

忙しいはずの今でも、彼女をつれて鍋に付き合ってくれる。

ホントいい奴らだ。
いや、単に暇なのか？

先輩の上田さんは、「いい人を」というような話をしてくれるが、紹介されるというのは、どこか不自然な感じがして嫌だ。自分は、きっと構えてしまうだろう。そんな自分に付き合わされる女性にもとても申し訳ない気がする。

自然と出会い、自然と心通じ合う、そんな感じがいいと思う。

正直、気になる人もいた。
だけど、その人のことを考えて想いは胸の奥にしまっておくことにしたんだ。

さようなら、仙台。
たくさんの思い出をありがとう。

そう、つぶやきながら、亮介は最後の段ボールを静かに閉じた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（おしまい）

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