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令和元年7月15日
こんにちは。弁護士の神坪浩喜です。
参議院選挙の投票日が近づいてきましたね。
選挙は、主権者たる国民がその権利を行使する大切な機会です。
そもそも「国民が主権者であること」=「国民主権」って何でしょう。
中学生、高校生向けに、国民主権についてわかりやすく書いてみました。
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「国民主権って何だろう?」
社会の教科書で出てくる日本国憲法の三大原理をおぼえているかな。
「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」だね。
これらの言葉は出てきても、その意味を理解することは、なかなか難しい。
特に「国民主権」は、言葉のとおり、主権が国民にあるということだが、
わかったようでわからない気がする原理だ。
なぜ日本国憲法は、国民主権を採用しているのだろうか?
明治憲法(大日本帝国憲法)では、主権者は天皇とされ、「君主主権」がとられていた。
戦争後に定められた日本国憲法では、天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であるとされ、主権が国民にあることが明記された。
なぜ、国民主権とされたのだろう。
それを理解するためには、そもそも「主権」という言葉の意味を理解しておく必要がある。
「主権」とは、国を統治する権力のことだ。
国を統治するしくみを定めたものが憲法であるから、主権があるということは、
憲法を定める権力(憲法制定権力)があるという意味でもある。
君主主権であれば、天皇や王様が国の統治権をもっていた。明治憲法を制定したのも天皇だ。
国民主権ということは、国民が統治権を持っていることになる。
国民が憲法制定権力者だ。
国を統治する権力というのは、社会秩序を維持するために法律を定め(立法権)、
法律を執行する権力のことだ(行政権、司法権)。
社会秩序を維持するために、秩序を乱した者に対しては、
裁判にかけ刑罰権を行使するし、ときには強制的に税金を徴収する。
外国との関係では、主権を維持するために、外交を行ったり、ときには戦争を行ったりする。
国民に主権があるということは、国会議員が法律を定め、
裁判官等の公務員が権力行使をできる源泉に、国民があるということだ。
権力を行使するものは、国民から権力行使をするように託されている。
そこで、権力を行使する際には、「国民のために」行使しなければならない。
なぜ、日本国憲法は、国民主権を採用したのだろうか。
君主主権ではだめなのだろうか。
国民に主権があるとすることによって、権力を行使する者は、
国民のことを意識し、国民のために権力行使をする必要になった。
権力者が好き勝手に国民の権利自由を侵害することができにくくなった。
国民に主権があるとすることによって、政治=権力行使に国民が参加したり、
監視したりする理屈が立つようになる。
主権者である国民が、権力行使の「主体」にもなるのだ。
逆に、特定の誰か(王様)に主権、国をおさめる統治権があるとすると、
国民は、おさめられる「客体」として、国政に参加する理屈がつけにくい。
また王様の好き勝手に、権力行使がなされ、国民の自由も奪われやすくなる。
国民主権によって、権力の濫用が防止され、国民の自由が保障されやすくなるのだ。
すなわち、国民主権の目的は、国民の基本的人権の保障、個人の尊重のためにある。
国政は、国民の代表者によって行われる。
代表者は、選挙で選ばれる。
代表者である国会議員がとんでもない法律をつくった場合や、
誤った権力行使をした場合には、国民が次の選挙で、落選させることもできる。
そこで、選挙というのが、主権者として重要な局面となるのだ。
選挙を通じて、国会議員、地方自治体の首長(知事や市長)、地方議員を選ぶ。
現職の国会議員が、国民の代表者としてふさわしくないということであれば、
選挙で議員をやめさせることも可能になる。
国会議員が国民の代表者として、適切に権力行使をしているのかをチェックし、選挙で審判をくだす。
自分の1票だけは、確かに、微々たるものだろう。
しかし、みんなの1票が集まれば、政治に変化を起こすこともできるんだ。
それに、表現をすることを通じて、同じ考え方の人を集め、さらに多くの人に、訴えることも可能になる。
この意味で、憲法が保障している「表現の自由、集会結社、言論の自由」はとても重要だ。
選挙で投票することは、主権者の役割を果たすことで、とても大切なことだよ。
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国民主権のしくみ
国家権力の源泉が国民にあるとするとして、権力の濫用を防止し、国民の権利自由をまもる
国民
↓ 憲法を定める
憲法
↓ 縛る、コントロールする
国家権力
↓ 統治する
国民
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(目次)
はじめに
第1章 そもそも法って何?~いろいろな人がいる社会の中で幸せに生きる仕組み
1 法と幸せ
2 ルールはなぜ必要?
3 よいルールの条件とは?
4 正義って何?
コラム)桃太郎は正義の味方か?
第2章 僕たちは憲法のもとに生きている
1 民主主義と立憲主義のはなし
(1)民主主義って何?
(2)民主主義って多数決のこと?
(3)憲法は、国家を縛る~立憲主義
(4)表現の自由がない世界
(5)民主主義と立憲主義-個人の尊厳をまもる
2 権力分立~権力の濫用を防ぐためのシステム
3 ジョン・ロックのはなし~国家、自然権、法の支配
4 国民主権って何?
(1)主権が国民にあるってどういうこと?
(2)18歳になったら選挙権行使!
5 基本的人権の尊重~憲法は人権のカタログ
第3章 裁判員になっても大丈夫?~刑事手続
1 弁護士はなぜ「悪い人」の弁護をするの?
2 逮捕されてしまった!その後どうなる?
3 犯罪と刑罰のはなし
(1)犯罪って何だろう?
(2)どんな刑罰があるのだろう?
(3)死刑制度について考えてみよう
(4)なぜ刑罰が必要なのだろう?~刑法の目的
4 刑事手続
(1)いきなり「刑務所行き」にはできない
(2)なぜ、被疑者、被告人には黙秘権があるの?
5 検察官の役割
6 弁護人の役割
7 無罪推定の原則~疑わしきは被告人の利益に
8 もしも君が裁判員に選ばれたら~裁判員として知っておきたいこと
(1)裁判員とは?
(2)裁判員になるまで
(3)裁判員として審理に立ち会う
証拠に基づく事実認定を行う
量刑~被告人に言い渡す刑をどうする?
第4章 大人になる前に知っておきたい契約・損害賠償のこと~契約、市民生活に関する法
1 契約って何?
2 どんな契約も守らないといけないの?
(ア)契約の拘束力にも例外がある
(イ)契約を解約できる場合
1)未成年者取消権
2)詐欺取消、強迫取消
3)債務不履行契約解除
4)合意解約
5)クーリングオフ
3 悪徳商法に騙されないために
1)ワンクリック詐欺
2)デート商法
3)マルチ商法
4 借金を返せなくなったらどうなる?
(1)お金を借りることの意味
(2)友達から「保証人」になってと頼まれたら
(3)もし借金に困ったら
5 働くときのルール ワークルール
(1)立場が弱い従業員を守るワークルール
(2)働く前に知っておきたいワークルール
1)労働時間
2)賃金
3)休暇
4)解雇のルール
(3)ブラック会社に気をつけよう
(4)セクハラ・パワハラで困ったら
6 損害賠償のはなし
(1)どんなときに損害賠償請求ができるのか?
(2)「損害の公平な分担」という考え方
第5章 交渉法を身につけよう!
1 交渉って何?
2 交渉のコツ
(1)準備が大切
(2)交渉の場で
①感情的にならずに冷静に伝える
②論理的に伝える
③相手の言い分をきく
④自分の言い分と相手の言い分とを整理する
⑤解決案を考える
第6章 トラブルに巻き込まれたら
1 弁護士に相談してみる
弁護士の探し方
いい弁護士の見分け方
2 調停というもめごと解決法もある
第7章 裁判所ってどんなところ?
1 裁判の役割
2 裁判傍聴に行ってみよう
3 裁判官という仕事
(1)裁判官の責任は重大
(2)裁判官ってどんな人?
(3)裁判官のやりがい、苦労
第8章 法的なものの見方・考え方を身につけよう!~大人の知的技能
1 主張(意見)に理由をつける
2 事実と意見を分ける
3 事実の中で、どういう事実が重要になるかを見極める
4 事実については、裏付ける証拠がないかを確認する。
5 論理的思考とは
おわりに
「個人の尊重」-何かを大切に思う気持ちに違いはないこと
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