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民事模擬調停のススメ

民事模擬調停のススメ

 

民事模擬調停の法教育的効用と具体的活用法について

                神坪 浩喜

 

はじめに

仙台弁護士会の神坪浩喜と申します。本日は、民事模擬調停を学校の授業で広く取り入れていただけたらと思い、発表のお時間をいただきました。

私は、弁護士をやって約18年になるのですが、10年ほど前から、仙台弁護士会法教育委員会の委員として、学校での法教育出前授業、弁護士会のジュニアロースクールの開催、また日弁連市民のための法教育委員会の委員として、日弁連教員セミナーや法教育HPの管理など、法教育の活動をやってきました。

また、平成22年から4年間、仙台簡易裁判所の民事調停官、非常勤裁判官として週に1日勤務し、多数の調停事件に立ち会ってきました。民事調停官というのは、弁護士経験5年以上の人から、選任されるもので、民事調停の活性化とともに弁護士任官の橋渡し的な意味合いもあって、平成15年から始まった制度です。調停官には、私がやっていた民事調停官の他に、家事調停を行う家事調停官があります。

午前10時から午後5時まで、1時間枠で、5枠あり、1日に4件くらいの調停に立ち会い、手持ち事件数は常時30件くらいでした。その日は、ひたすら調停をしていたという記憶です。

民事調停委員2名と調停官1名の3名で、調停委員会という合議体を組織して、公平中立的な立場で、申立人と相手方の間に入って、紛争を解決することができないか調整をしていきます。

民事調停官として、多数の調停事件をやって気づいたこと。それは、この調停体験は法教育にとてもいいということです。調停官として調停をやっていると、同じ事実を眺めていても、申立人の見方や評価と相手方の見方や評価、言い分とが、こんなにも違うのかと驚くことも多かったです。板挟みになっているというか、サンドイッチというか、申立人からも相手方からもどちらにも責められるようなときもあり、大変な思いもしました。

その一方で、当事者の利害を離れて、純粋に双方当事者にとってよい解決はなにか、公平な解決はなにか、何かいいアイデアはないかと考えることは、とてもやりがいがり、そうして、調停が成立して、お互いの当事者が、ほっとした表情をして「ありがとうございました。」と調停室を後にする様子を見ることは、とても嬉しいものでした。

代理人という立場では、依頼をした当事者の利益を確保するという「縛り」があるところですが、調停人という立場だと、当事者双方の利害から一歩離れて、紛争全体をどのように解決するのが、当事者にとってよいのか、公平にかなうのかを考えるようになります。

この調停人の体験は、多面的なものの見方考え方、主張と理由を軸にした対話する能力、公平な解決とは何かを考えること、対立と合意といったプロセスを実体験すること、紛争解決のプロセスを体験するということで、法教育がめざすものにまさに合致しています。

そこで多くの学校の教室で、模擬調停授業が取り入れられ、多くの生徒さんに調停を体験してもらいたい、そのために多くの学校の先生方に模擬調停の有用性や面白さを知っていただきたいと思ったのです。

法教育授業といえば、ルール作り、ディベート、刑事模擬裁判、模擬交渉をイメージされる方も多いかと思います。他方で、民事模擬調停というのも聞いたことはあるけれど、まだまだ実際に調停をやられている先生方は少ないのではないでしょうか。そもそも調停それ自体があまり世間に認知されていません。後でお話します愛知での法教育教員セミナーにおいても、「模擬調停とはいったい何だろう?」と関心を持って参加された先生方が多数いらっしゃいました。

調停という言葉自体は耳にしたことがあっても、具体的にどのようなものかをご存じの方は、それほど多くありません。法律相談をやっていて、相談者の方に調停をお勧めするときもあるのですが、「そのような手続があるのですね。知りませんでした」という反応をされる方が多いのです。

模擬裁判や模擬交渉はそれぞれ、法教育的な効用の高い授業だと思います。今回の発表では、そちらを否定するつもりは全くなく、メニューの一つとして、もう一品、模擬調停という料理を加えていただければというご提案になります。

 

1 民事模擬調停体験の法教育的効

(1)調停という紛争解決手段

 なぜ模擬調停が法教育授業としていいのでしょうか?調停とは、中立公平な第三者を交えて行われる話し合いです。紛争解決手段の一つです。

 多様な考え方、利害を持つ個人がともに暮す以上、衝突、トラブルは避けることができません。もちろんできる限り、トラブルを予防するという策を講じていくことは、社会制度でも個人のレベルでも重要な課題です。しかしながら、トラブルの発生は不可避です。

 そのときにどのように対応するのか、紛争解決のためにどのように自分は対応するのかが問題となってきます。調停の授業では、調停が、紛争解決手段の一つであるということ、その意義を明確にしておくことが重要になるかと思います。そして、交渉や裁判といった複数の紛争解決手段がある中で、調停はどのような特徴があるのか、どのようなときに選択するとよいのかをアウトラインを伝えるとよいでしょう。

 紛争解決方法には、交渉、調停、裁判と大まかに3つあるのですが、調停の特徴は、交渉や裁判と対比するとわかりやすいでしょう。

① 交渉と比べて

 交渉も調停も話し合いで、他者に判断を委ねない自律的紛争解決手段です。自分と相手の合意が必要です。しかし、交渉は、相対する二当事者の間で、話し合いを行うものです。紛争解決手段の入り口かつ多くは交渉、二人だけの話し合いで解決されています。調停には、中立的な第三者が当事者の間に入ります。

 模擬交渉も、有用な法教育授業の一つです。立場ではなく利害に着目する。BATNA(最善代替手段)を用意しておく。客観的基準を強調するといった交渉作法を前提に、交渉体験をするのも有用です。調停にも関連する技法です。ただ、模擬交渉は、模擬調停よりも法教育の授業としては難しいのかなという印象を私は持っております。

どこが難しいかというと、当事者は、自分の利害から離れることができません。ウィンウィン、自分も相手もよくなる交渉というのも理想としてありはしますが、どうしても「勝ち負け」「損得」「利益不利益」から離れることができません。そこから、相手の利益も考えつつというのは、なかなか難しいところです。

これに対して、調停人の場合には、当事者が持つ利害から一歩離れて、「双方当事者にとって、公平で妥当な解決は何か?」を純粋に考えることができます。

実際の暮らしでは、「交渉」がメインとなり、その交渉能力、ここでは、相手に勝つという交渉ではなく、話し合いによってフェアで、相手の立場もふまえた解決ができるという能力を考えていますが、それを育むのには、どうしても利害から離れることができない交渉体験よりは、先に調停人の体験をして、「多面的なものの見方」を体験し、「純粋に公平で妥当な解決とは何か」を考え、話し合いをすすめ、解決案を考えることの方が、遠回りのように思えて実は交渉能力を高めるのに効果的なのではないかと思っています。

調停人の経験から、相手の立場、利害を想像する能力、紛争全体をとらえて、妥当な解決をするために、当事者として、どのような行動を選択するのがいいのかも考えることができるのではないかと思います。

つまり、当事者体験より先行し、調停人の体験をやってみて、利害を離れた立場から紛争を見る視点を体感した後に、交渉体験に進んでいくのがよいかなと思います。

② 裁判と比べて

次に、裁判・訴訟との対比です。裁判も調停も、間に中立的な第三者が入る点は同じですが、裁判は、その第三者つまり裁判官が、当事者の言い分や証拠をふまえ、評価して判断をするのに対して、調停では、調停人は、判断するのではなく、当事者間の話し合いを促進させ、当事者間で合意することができないかを調整します。

調停人が調停案という解決案を出すことはあっても、これを当事者に強制はできず、これについて当事者の同意を得る必要があります。判決と違って、調停では、言いっぱなしではできません。合意を得る必要、合意を得るための努力、調整をする必要があります。調停案を考えて出すときも、調停人は一定の評価はしていますが、当事者が受け入れるための説明を、当事者の反応を受けつつ努力して行う必要があるのです。調停は、判断による解決ではなく、対話と調整による解決方法といえます。当事者の反応を受け入れつつ、調整をしていく、この調整をするという体験が、話し合いによる解決能力を養うのには大変有用だと思います。

 

(2)調停と法教育の親和性

 調停人は、以上のように、①中立公平な第三者として介入しつつ、②話し合いによる調整で問題解決を行うというところにあります。そのような調停人の性質が、法教育が目指す「自律した市民の育成」によく合致していると思うのです。

 調停人を体験しますと、「申立人、相手方の見方がこうも違うのか!」ということを体験しますので、自然と多面的なものの見方、考え方が身につくことでしょう。

他者に自分の言い分をつたえるためには、主張に理由を添える必要があり、他者との対話能力のトレーニングになります。また、対立から合意へのプロセスを体感できます。事実はどうなのか、重要な事実は何なのか、主張している事実はあるのだろうかといった事実の把握、事実認定のトレーニングにもなります。そして、紛争に向き合って、話し合いによって解決する実体験ができます。

 もめごとが起きたとき、それに向きかって、話し合いによって解決をする意欲や能力を育むことは重要です。紛争はどうしても起きてしまいます。そのときにどのように対処するのか。「泣き寝入りする」「誰かに相手をやっつけてもらう」そのような考え方を軸にしてしまうと、他者と共生しつつ自律的に生きるということは難しくなってしまいます。

一橋大学の山本和彦先生は、第3回法と教育学会シンポでこのようなことをおしゃっていました。「誰か(遠山の金さん?)が何とかしてくれる」「裁判所が何とかしてくれる」この傾向は、私が調停をやっているときもよく感じました。当事者の方が「ひどいでしょ。相手に払うように言ってやってくださいよ」と調停人を正義の味方ととらえ、自分が正義だから何とかしてくださいと依存される方も少なくなかったのです。相手と話し合いをすることが嫌で、「泣き寝入り」を選択する人も、多くおられるのではないでしょうか。

「相手との話し合いによってもめごとを解決する」ときに、調停を活用して、話し合いによって解決する。そのような「紛争に向き合い、紛争を解決する意欲・能力」を育むことは、社会の中で他者と共生をしていく上で、重要な事柄だと思います

 

調停は、話し合いによる紛争解決方法です。相手の話を聞いて、要点をつかんで、自分の頭で考えて、相手に伝えるというプロセスを経る必要があります。実践的なコミュニケーション能力が鍛えられるでしょう。

 さらに、調停は、やってみると面白いものです。調停人の立場のとき、申立人や相手方との調整の他に、調停人内部での意見交換、評議もあります。進行を考えたり、調停案を考えたりと、調停人の間で意見を交わすのです。これが、なかなか楽しいのです。調停体験は、実際にやってみると楽しいものです。調停委員の先生方は、調停委員控室で、相方のもう一人の調停委員と、この事件を解決するための方針や解決案について活発に、イキイキと議論をしていました。 教室でも、少人数のグループ、できれば3人で話し合いをすると、楽しく話し合いをする光景が見られるのではないかと思います。

 

2 民事模擬調停の実践

(1)教材について

では、民事模擬調停をどのように実践していけばよいのでしょうか。まず、教材についてですが、教材は、現在インターネットから入手できるのも多くあります。

 調停教材として有名な教材が、お茶の水女子大学付属中学校の寺本誠先生作成の「バイオリンがこわれちゃった!」という教材です。商事法務の「法教育フォーラム教材倉庫」にアップされていますので、どなたでもアクセスして活用できます。実際の授業のレポートもございます。

http://www.houkyouiku.jp/textbook.html

 こちらの教材は、学校に文化祭コンサートの練習で高価なバイオリン120万円をもっていたAさんが、音楽室から別の教室の移動時に、Bさんにそのバイオリンを持ってもらっていたところ、Bさんが教室を出た直後に、廊下を走ってきたCさんとぶつかって、Bさんが持っていたバイオリンがはじけ飛んで、壊れてしまった。修理代は60万円くらいかかる。でも完全には元にはもどらない。Aさんは、Bさん、Cさんに120万円を請求したいというものです。学校のきまりで、高価なバイオリンは持ってきてはいけない、廊下を走ってはいけないという事情があります。

 日弁連市民のための法教育委員会の教員セミナーでも、2回、この教材を使って、学校の先生方対象に、模擬調停体験をしていただきました。2回目は、今年の5月に愛知県弁護士会館で行われ、主に愛知の先生方に体験していただきました。

A,B,Cそれぞれの言い分があり、利害を調整することの難しさを、楽しみながら体感できるよい教材だと思います。体験していただいた学校の先生方も、それぞれの役になりきって、熱くなって、話し合いをしていただきました。

 

民事模擬教材の種類としては、大まかに3つあるのではないかと思います。

   学校内で起こりうる問題を想定した模擬調停

 先の「バイオリンがこわれちゃった!」もそうですし、従前ルール作りの教材で多く活用されていた、校庭や体育館の使い方も調停教材になると思います。

 このたび出版されました日弁連市民のための法教育委員会が作成した教材集「小学校のための法教育12教材」(東洋館出版)の中にも模擬調停教材がございます。こちらは、友達との間のマンガ本の貸し借りを巡るトラブルを調停で解決しようとする授業教材です。

②童話や昔話を素材とした模擬調停

例えば、桃太郎の昔話を素材にして、桃太郎は、鬼が村から食料をとっていったのを返してもらいたい。鬼は、もともとその村は、鬼の土地だったから、土地を返してもらいたいといっているという設定で、お互いの言い分を聞いて調整をしていくものです。こちらは、日弁連法教育ホームページの教材集に、福岡県弁護士会の教材として掲載されています。

日弁連法教育ホームページには、教材集の他、全国各地で活動している法教育に取り組む弁護士の法教育コラム、また法教育のイベント情報といった法教育の情報が掲載されていますので、よろしければご覧になってみてください。

https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/education.html

 

   実際の社会で起こりうるトラブルの模擬調停

高校生向きといえるかも知れません。例えば、賃貸借の問題で、アパートを借りていて、返す時に予想以上に高い原状回復費用を請求されてしまったケースは、一人暮らしをするようになると体験する可能性のあることです。この実際の社会で起きている問題についての調停の場合には、裁判所の調停申立書書式や答弁書の書式を活用するのも面白いのではないかと思います。調停は弁護士をつけなくてもできるようにという立て付けをしていますので、裁判所も分かりやすく解説しています。調停申立書式は、裁判所のホームページでからダウンロードできます。

この分類の調停教材として、ご参考までに私が作成した教材案をお配りします。これは実際に私が体験した調停を元にした教材で、賃貸人側、賃借人側、それぞれいろいろな言い分があって調停人としては、調整しがいがある教材だと思います。そのままでは難しいかも知れませんが、事情を一部省略する等して、たたき台として使っていただけるとありがたく存じます。

 

(2)実践のポイントについて

ア 法教育教員セミナー(日弁連主催)

平成29年5月20日に、先の「バイオリンがこわれちゃった!」を題材として、愛知県弁護士会館で、学校の先生方を対象にした民事模擬調停を実施しました。参加された先生は16名。先生方に生徒役になっていただいて、調停委員役、Aさん、Bさん、Cさん役になっていただきました。1グループが4人で、ワークシートを活用しました。体験していただいた先生方からは、調停体験というのは、これまでなかったこともあって、好評をいただきました。「様々な立場の考えを調整し、合意を図るという手法を体験して有意義でした」等の感想をいただきました。また参加、見学していただいた愛知県弁護士会の先生方から、貴重なご意見をいただきました。

反省点として、調停について十分に認知がされているわけではないので、調停の一般的な説明を事前にしておくこと、調停を法教育授業でやる目的を明確に説明しておくこと、また調停人役や当事者役の役割・スタンスがよくわからないという様子でしたので、その役割を事前にお伝えした方がよいと感じました。

反省点をふまえて、私が考える民事模擬調停の実践ポイントについて具体的にお話したいと思います。

   模擬調停を法教育授業として行う目的、ねらいについて明確に伝えておく

 調停は、残念ながら、多くの方にとって、メジャーな存在ではありません。「調停って何?」という問いにまずは答える必要があります。この点「法教育って何?」と似たようなところがあります。

 冒頭で、調停というのは、紛争を話し合いによって、自主的に解決すること。対立していたところから、どのようにして合意をめざしていくのか、公平で妥当な解決とは何かを考えていくことに意味があることをお伝えします。

そして、調停は、紛争解決手段の一つであること、裁判や交渉とどこが同じでどこが違うのかと対比して説明しておくとよいでしょう。例えば、次のような感じです。

「好みも立場も性格もいろいろな人がいる社会の中で、紛争(もめごと)はどうしても起こってしまうものだよね。そこで紛争を解決することが必要でしょう。紛争を解決する手段には何があるかな? 

→話し合う、裁判・・・調停というものもある。暴力はもちろんだめだよ!  

→二人で話し合う(交渉)これが基本だね。でも、相手の言うことは信用できない、顔も見たくないとなって、話し合いがまとまらないこともある

→そんなとき、間に中立公平な第三者を入れて話し合いをすることで、まとまることもある これが調停。

→第三者に決めてもらう 裁判で争って、裁判官に判決を出してもらう」

このような流れを大まかに伝えらえるとよいかと思います。

「調停は、話し合いが基本で、誰かが強制はできない、でも公平中立的な第三者が間に入る点が特徴だね」ということが、生徒さんに理解してもらえたらと思います。余裕があれば、裁判所の民事調停という制度や弁護士会の紛争解決センター(ADR)という制度についても触れるとよいかなと思います。この部分は、弁護士と連携して授業ができる場合には、弁護士に委ねるとよいところでしょう。

② 大まかなシナリヲを決めておく

 調停が漂流しないように、進行の枠組みはあたえておきます。パートごとの時間も決めておいて、時間を守るように指示を出します。

当事者双方の言い分確認→他方当事者への伝達→主張・争点整理、確認(ここは同席)調整(当事者の対話を促進させ、よい解決案がないかを双方当事者に考えてもらう)→評議を行い調停案作成→調停案提示、調停案をベースにした調整→調停条項をまとめ紙にまとめる発表、感想、意見交換

進行の提案なのですが、調停案を出すことはシナリヲに入れていただきたいのですが、そのタイミングを早くしないということです。すなわち、当事者の話をきいて、いきなり調停案を出さずに、まずは、お互いの言い分や理由をテーブルに乗せ、情報を共有化した後、当事者に解決案を考えてもらい、当事者から解決案を出してもらって相手に確認し、その調整を経た後で、調停案という流れをお勧めします。

すぐに調停案としてしまうと、調停の対話による調整、話し合いによる自主自律的な解決体験という、「調停のうまみ」が減殺されてしまうからです。

また調停案を出したとしても、出しっぱなしにせずに、調停案の理由をしっかり説明し、それで当事者が同意しない場合には、その理由を確認しつつ、調整を行うとよいと思います。このプロセスがまたよい体験になります。

「調停人の役割は、当事者の話し合いが、円滑に進むようにして、当事者自らの力で紛争解決ができるようにアシストすること」を意識すると、さらに面白い調停体験になると思います。

③ 調停人役、当事者役の心構えをあらかじめ伝えておく

  調停人役)中立公正であろう 自分の価値観を押し付けない

       当事者の話を要約し、整理し、争点がどこかをつかもう

       公平で当事者双方にとってよい解決案を考えよう

  当事者役)自分の意見に固執せず、相手の意見を聞きつつ柔軟に考えよう

       自分の意見を理由、根拠をつけて相手に伝えよう

④ 調停成立、合意成立をめざすが、それにこだわらない

 合意形成に向けて調整する過程に意義がある

⑤ 「互譲」をあまり強調しすぎない

  民事調停法1条で「この法律は、民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする」とあることもあってか、「調停=互譲、譲り合い」として、それを強調しがちになるのですが、私は、おすすめできません。これを強調してしまうと、調停人が話し合いを勧めないままに、当事者双方「譲りなさい」として、先に述べたプロセスを省略してしまいかねないからです。  

⑥ 同席調停を活用する(手続説明、主張・争点整理、進行確認、調停案提示)

  調停の進め方には、当事者双方、調停人と一堂に会して話し合いを進める同席調停と、調停人が当事者それぞれから話を聴いて、他方当事者に伝えていくという別席調停とがあります。民事調停や家事調停の多くは、別席で行われています。私が提案する模擬調停も別席を基本としていますが、手続説明、主張・争点整理、進行確認、調停案提示といった調停人からの情報提供、情報共有化の場面については、同席をお勧めしています。

⑦ 真意の確認、情報の共有化、理由の確認と掘り下げ 「オレンジ事件」

 当事者双方にとって納得のいく解決法を出していくための基本的なこととして、有名な「オレンジ事件」を例にあげながら、事前にアドバイスしておくとよいでしょう。 きょうだいで、お互いに1個のオレンジがほしいとけんかになっているときに、その理由を確認すれば、姉はケーキ作りのために皮がほしくて、妹は食べたくて実がほしかった。皮を姉に、実を妹にというお話です。

 大河ドラマで、大名から、気賀という商人の町に城を作るよう命じられた商人が、①城をつくることやむなし(逆らうと罰をうける)と②城をつくるのは反対と商人の間で、対立して喧嘩しているときに、直虎が、反対派の理由を確認して、反対派商人が「商人の町が支配されて、これまでどおり自由にできなくなる」と確認しところ、「城をつくることが問題ではなく、商人で自由にできなくなることが問題なのじゃな」と「では城をつくることを承諾しつつ条件としてこれまでどおり商人に任せてほしいとかけあってはいかが」と調停案を提案しました。このように主張の理由、目的を確認していくと、合意点が見つかることがあるのです。

 

3 弁護士の積極的活用

模擬調停の実践の際には、できれば、法教育に取り組んでいる弁護士に声をかけていただけるとありがたく存じます。全国各地に法教育委員会、弁護士がいます。調停は、弁護士にとって日常的な業務であり連携しやすいテーマです。調停委員や弁護士会のADR(裁判外紛争処理)の仲裁人等で、代理人だけではなく、中立的な立場で活動している弁護士もいます。

生徒さんに当事者役でももちろんよい体験にはなるのですが、できれば調停人の体験を生徒さんにしていただければと思います。そこで、当事者役に、弁護士を活用するのはいかがでしょうか。弁護士は日ごろ、いろいろな当事者と接していますから、リアリティのある面白い当事者を演じてくれると思います。

また先の「調停とは?」というお話や紛争解決手段の必要性や制度などについて弁護士に説明をしてもらうのもいいかと思います。

 

4 まとめ

民事調停体験を体験すること、とくに調停人を体験することは、法教育がめざす意欲や能力を育むのに大変有用です。教材もありますし、取り組みやすく、活発で面白い授業になりやすいです。また、弁護士との連携しやすい授業でもあります。ぜひ民事模擬調停を授業の中に取り入れていただけたらと思っております。

 

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