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平成29年9月16日(土)
こんにちは。
弁護士の神坪浩喜です。
9月3日に、一橋大学で開かれた「法と教育学会」に参加してきました。
私が分科会でお話しした「民事調停の法教育的効用と具体的実践について」の台本をHPに掲載しましたので、よろしければご覧になってみてくださいね。
http://www.ayame-law.jp/15045158648213
さて、その「法と教育学会」の基調講演で、東京大学教授の井上達夫先生から「正義」についてのお話がありました。
「へえ~なるほど~」と思ったところがありましたので、ご紹介しますね。
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「正義概念」の中身は何か。
それは「等しき事例は等しく扱うべし」という命題で伝統的に表現されてきた。
正義概念の規範的実質は、
「普遍化不可能な差別の排除」の要請にある。
普遍化不可能というのは、言い換えれば「個体的同一性」に依拠しているということ
つまり、自分は自分だから、他者より優遇されるべきだとか
自分の国だから特権的にあつかわれるべきだ、
あるいは、自分の子どもだから特権的にあつかわれるべきだとか。
そういう、当事者の個別的な同一性のみが理由になっている差別は、普遍化できない。
普遍化できない差別は、排除されなければいけない。
これが正義概念の要請である。
そして、ある人やある集団の行動や要求が、この意味での正義にかなっているかどうか、
を見分けるテストとして「反転可能性テスト」がある
自己の他者に対する行動や要求が、もし自己が他者だったとしても受け入れられるかどうか。
自分と他者が反転したとしても、受け入れられるかどうか、を考えてみよと。
この要請に耐えられなければ、その行動や要求は、正義ではない。
反転するのは、「客観的状況」だけでなく「視点」もだ。
自分がマゾヒストだと仮定して、相手もマゾヒストだと決めつけて、ベンチで寝ている男を杖でしばいていいわけがない。
自分の他者に対する行動や要求が、自分の視点だけではなく、他者の視点からも拒絶できないような理由によって正当化できるかどうか、それを吟味せよ、と
ここで、他者の視点は、あくまで想像にしかすぎない、そこに意味があるのかという批判もあるだろう。
確かに、自我の檻のもとで、他者の視点はこうだろうと思うしかない。
しかし、自我の檻のもとで生成した他者の視点であっても、他者の視点は何だろうと、共感、シンパシーの意識をもつのと、他者視点を想像しようともしないのとでは、やはり違う。
他者視点を持とうという意識は大切だ。
ただ一方で、その他者視点は、あくまで「自我の檻」からのものであるという限界をふまえておくことも必要だ。
そこで、他者からの具体的な批判にさらされるということも同時に必要だ。
参考文献 「リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください 井上達夫の法哲学入門」井上達夫著 毎日新聞出版
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正義かどうかを見極める「反転可能性」テストか、なるほど~。
正義に叶った行動、差別のない行動をとるには、立場と視点の入れ替え、他者視点の想像力、共感意識、そしてそれはあくまで自分のフィルターを通した想像だという謙虚さが必要だということですね。
さらに、自己の行動要求に対して、具体的に批判を受けることも重要なんですね。
どうしても人は、自分の立場や視点から物事をみてしまいます。
でも、他者と共生していくためには、他者の立場や視点を想像すること、そしてそれには限界があるということ、自分の要求や行動について、きちんと他者の意見を聞くことって、本当に大切なんだなと感じています。
(これが、実際は、とても難しいのですけどね)
そして、この視点を体験するには、調停人の体験、ニュートラル体験をやってみるのがいいんじゃないの!
と、思いました。
私なりに、正義のためにも、調停を広めていこうと思います。
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(目次)
はじめに
第1章 そもそも法って何?~いろいろな人がいる社会の中で幸せに生きる仕組み
1 法と幸せ
2 ルールはなぜ必要?
3 よいルールの条件とは?
4 正義って何?
コラム)桃太郎は正義の味方か?
第2章 僕たちは憲法のもとに生きている
1 民主主義と立憲主義のはなし
(1)民主主義って何?
(2)民主主義って多数決のこと?
(3)憲法は、国家を縛る~立憲主義
(4)表現の自由がない世界
(5) 民主主義と立憲主義-個人の尊厳をまもる
2 権力分立~権力の濫用を防ぐためのシステム
3 ジョン・ロックのはなし~国家、自然権、法の支配
4 国民主権って何?
(1)主権が国民にあるってどういうこと?
(2)18歳になったら選挙権行使!
5 基本的人権の尊重~憲法は人権のカタログ
第3章 裁判員になっても大丈夫?~刑事手続
1 弁護士はなぜ「悪い人」の弁護をするの?
2 逮捕されてしまった!その後どうなる?
3 犯罪と刑罰のはなし
(1)犯罪って何だろう?
(2)どんな刑罰があるのだろう?
(3)死刑制度について考えてみよう
(4)なぜ刑罰が必要なのだろう?~刑法の目的
4 刑事手続
(1)いきなり「刑務所行き」にはできない
(2)なぜ、被疑者、被告人には黙秘権があるの?
5 検察官の役割
6 弁護人の役割
7 無罪推定の原則~疑わしきは被告人の利益に
8 もしも君が裁判員に選ばれたら~裁判員として知っておきたいこと
(1)裁判員とは?
(2)裁判員になるまで
(3)裁判員として審理に立ち会う
証拠に基づく事実認定を行う
量刑~被告人に言い渡す刑をどうする?
第4章 大人になる前に知っておきたい契約・損害賠償のこと~契約、市民生活に関する法
1 契約って何?
2 どんな契約も守らないといけないの?
(ア)契約の拘束力にも例外がある
(イ)契約を解約できる場合
1)未成年者取消権
2)詐欺取消、強迫取消
3)債務不履行契約解除
4)合意解約
5)クーリングオフ
3 悪徳商法に騙されないために
1)ワンクリック詐欺
2)デート商法
3)マルチ商法
4 借金を返せなくなったらどうなる?
(1)お金を借りることの意味
(2)友達から「保証人」になってと頼まれたら
(3)もし借金に困ったら
5 働くときのルール ワークルール
(1)立場が弱い従業員を守るワークルール
(2)働く前に知っておきたいワークルール
1)労働時間
2)賃金
3)休暇
4)解雇のルール
(3)ブラック会社に気をつけよう
(4)セクハラ・パワハラで困ったら
6 損害賠償のはなし
(1)どんなときに損害賠償請求ができるのか?
(2)「損害の公平な分担」という考え方
第5章 交渉法を身につけよう!
1 交渉って何?
2 交渉のコツ
(1)準備が大切
(2)交渉の場で
①感情的にならずに冷静に伝える
②論理的に伝える
③相手の言い分をきく
④自分の言い分と相手の言い分とを整理する
⑤解決案を考える
第6章 トラブルに巻き込まれたら
1 弁護士に相談してみる
弁護士の探し方
いい弁護士の見分け方
2 調停というもめごと解決法もある
第7章 裁判所ってどんなところ?
1 裁判の役割
2 裁判傍聴に行ってみよう
3 裁判官という仕事
(1)裁判官の責任は重大
(2)裁判官ってどんな人?
(3)裁判官のやりがい、苦労
第8章 法的なものの見方・考え方を身につけよう!~大人の知的技能
1 主張(意見)に理由をつける
2 事実と意見を分ける
3 事実の中で、どういう事実が重要になるかを見極める
4 事実については、裏付ける証拠がないかを確認する。
5 論理的思考とは
おわりに
「個人の尊重」-何かを大切に思う気持ちに違いはないこと
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