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こども六法

令和1年9月24日(火)

こんにちは。
弁護士の神坪浩喜です。

久しぶりのコラムとなりました。
いつのまにか季節は進み、秋分の日も過ぎました。
日が暮れるのもすっかりはやくなりましたね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、「こども六法」(山崎聡一郎著 弘文堂)という素敵な本に出会いました。

本の帯には、
「きみを強くする法律の本」「いじめ、虐待に悩んでいるきみへ」
「法律はみんなを守るためにある。
知っていれば大人に悩みを伝えて解決してもらうのに役立つよ!」
と書かれてあります。

刑法や民法、憲法といった条文を前提にしていますが、
わかりやすく言葉を置き換えていますし、漢字にはすべてフリガナがつけられて
小学生でも読めるようになっています。

例えば 刑法208条 暴行罪は
「人に乱暴な行いをしたけれども、相手にケガをさせなかった場合は、
2年以下の懲役または30万円以下の罰金か拘留、科料とします。」
としています。
(本物の条文は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、
2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」

そして、動物のイラストがひんぱんに載せられていて、
楽しくページをめくることができます。

子ども向けではありますが、立憲主義や罪刑法定主義、契約自由の原則
といった原則についても触れられていて、大人が読んでも読み応えのあるものになっています。

そして、この本の特徴は、帯の言葉にあるように
いじめられている子どもに、特に読んでもらいたいというメッセージが込められています。

いじめれらているキミ
いじめに悩んでいるキミ
実は、法律が、キミのことを守ってくれているんだよ。
今、キミが受けているいじめは、刑法で暴行罪という犯罪になるし、
民法で不法行為となって、損害賠償が請求できるよ。
いじめは、法律でいけないことと決められているんだ。
そしてキミは悪くない。
一人で悩まないで、大人に相談してみよう。

こんなメッセージが込められています。

著者の山崎さんは、「法教育を通じたいじめ問題解決」をテーマに研究をしている方です。
山崎さんは、小学5年から6年にかけて、左手首を骨折するほどの暴力を伴う
いじめを受けたのですが、学校内の処理では、加害者生徒の形だけの謝罪であいまいにされ、
心にひっかかかるものを抱え、でも仕方がないのかなと思っていました。

中学生になってから、学校の図書室にあった六法全書をみて、
いじめ加害者がしていたことは、暴行罪や傷害罪にあたると知って、衝撃をうけたそうです。

そして、いじめられたときに、法が守ってくれていることを知っていればと思ったそうです。
そこで、過去の自分と同じように、いじめで悩んでいる子どもに、法が守ってくれている
ということを、伝えたくて、子どもが読める六法の作成を思い立ちました。

「法律はみんなのためのルールなのに、みんなにわかるように書かれていない」
そして、こどもにわかるように書き直された本もない。
ならば、自分がこどもが読める法律の本を作ろう!という熱い思いから、この本が作られました。

いじめ問題の解決、法律の条文の書き直しという視点からの「法教育」です。
「おお!なるほど!」
と思いました。

私がやってきた法教育は、法の背景にある原理原則、価値(正義や公正、個人の尊重、立憲主義、無罪推定原則、適正手続の保障等)を軸に、
他者との対話を通じて、多面的なものの見方、考え方を身につけ、
自分らしく生きていくことを育むものを目的とするものですが、
山崎さんの視点、法を知り、活用して、自分を守るということも、大切なことだなと思いました。

それに、現在法教育は、出前授業やジュニアロースクール、教員による法教育授業を中心に、
展開されていますが、この「こども六法」のように
こども自らが、楽しんで読むことができる法についての本も必要かと思います。

「こども六法」
ぜひ、多くの子ども達に読んでもらいたい本です。

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「こども六法」とあわせてどうぞ。

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(目次)

はじめに

第1章 そもそも法って何?~いろいろな人がいる社会の中で幸せに生きる仕組み

1 法と幸せ

2 ルールはなぜ必要?

3 よいルールの条件とは?

4 正義って何?

コラム)桃太郎は正義の味方か?

 

第2章 僕たちは憲法のもとに生きている

1 民主主義と立憲主義のはなし

(1)民主主義って何?

(2)民主主義って多数決のこと?

(3)憲法は、国家を縛る~立憲主義

(4)表現の自由がない世界

(5) 民主主義と立憲主義-個人の尊厳をまもる

2 権力分立~権力の濫用を防ぐためのシステム

3 ジョン・ロックのはなし~国家、自然権、法の支配 

4 国民主権って何?

(1)主権が国民にあるってどういうこと?

(2)18歳になったら選挙権行使!

5 基本的人権の尊重~憲法は人権のカタログ

 

第3章 裁判員になっても大丈夫?~刑事手続

1 弁護士はなぜ「悪い人」の弁護をするの?

2 逮捕されてしまった!その後どうなる?

3 犯罪と刑罰のはなし

(1)犯罪って何だろう?

(2)どんな刑罰があるのだろう?

(3)死刑制度について考えてみよう

(4)なぜ刑罰が必要なのだろう?~刑法の目的

4 刑事手続

(1)いきなり「刑務所行き」にはできない

(2)なぜ、被疑者、被告人には黙秘権があるの?

5 検察官の役割

6 弁護人の役割

7 無罪推定の原則~疑わしきは被告人の利益に

8 もしも君が裁判員に選ばれたら~裁判員として知っておきたいこと

(1)裁判員とは?

(2)裁判員になるまで

(3)裁判員として審理に立ち会う

   証拠に基づく事実認定を行う

   量刑~被告人に言い渡す刑をどうする?

第4章 大人になる前に知っておきたい契約・損害賠償のこと~契約、市民生活に関する法

1 契約って何?

2 どんな契約も守らないといけないの?

(ア)契約の拘束力にも例外がある

(イ)契約を解約できる場合

1)未成年者取消権

2)詐欺取消、強迫取消

3)債務不履行契約解除

4)合意解約

5)クーリングオフ

3 悪徳商法に騙されないために

1)ワンクリック詐欺

2)デート商法

3)マルチ商法

4 借金を返せなくなったらどうなる?

(1)お金を借りることの意味

(2)友達から「保証人」になってと頼まれたら

(3)もし借金に困ったら

 

5 働くときのルール ワークルール

(1)立場が弱い従業員を守るワークルール

(2)働く前に知っておきたいワークルール

1)労働時間

2)賃金

3)休暇

4)解雇のルール 

(3)ブラック会社に気をつけよう

(4)セクハラ・パワハラで困ったら

 

6 損害賠償のはなし

(1)どんなときに損害賠償請求ができるのか?

(2)「損害の公平な分担」という考え方

 

第5章 交渉法を身につけよう!

1 交渉って何?

2 交渉のコツ

(1)準備が大切

(2)交渉の場で

①感情的にならずに冷静に伝える

②論理的に伝える

相手の言い分をきく

④自分の言い分と相手の言い分とを整理する

⑤解決案を考える

 

第6章 トラブルに巻き込まれたら

1 弁護士に相談してみる

 弁護士の探し方

 いい弁護士の見分け方

2 調停というもめごと解決法もある

 

第7章 裁判所ってどんなところ?

1 裁判の役割

2 裁判傍聴に行ってみよう

3 裁判官という仕事

(1)裁判官の責任は重大

(2)裁判官ってどんな人?

(3)裁判官のやりがい、苦労

 

第8章 法的なものの見方・考え方を身につけよう!~大人の知的技能

1 主張(意見)に理由をつける

2 事実と意見を分ける

3 事実の中で、どういう事実が重要になるかを見極める

4 事実については、裏付ける証拠がないかを確認する。

5 論理的思考とは

 

おわりに

「個人の尊重」-何かを大切に思う気持ちに違いはないこと

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