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賃借人は、賃貸人に対して、善良な管理者の注意を持って目的物を保管する義務(善管注意義務。民法400条)を負っており、これに違反し、賃借人の故意過失によって賃借物を毀損すれば債務不履行(民法415条)となり、賃借人は毀損部分の損害を賠償しなければなりません。
また賃貸借契約終了時には、賃借人は、賃借物を原状に回復して賃貸人返還する義務を負っています。
これを原状回復義務といい、「原状に回復する」とは、賃借人が設置したものを取り除く
「収去義務」のことをいいます。
これらの義務を負う一方で、賃借人には敷金の返還を請求する権利を持ちます。
しかしこの敷金は、賃貸借契約が終了し賃借物を明け渡すまでに生じた賃借人に対する賃貸人の一切の債権を担保する役割を果たすため、敷金からこれら債権を控除して余りがある場合に限り、賃借人は敷金の返還を求めることができるのです。
賃貸借契約においては、契約終了時、賃貸人はその目的物をまた新たな賃借人に貸すなど、継続的な使用が当然に予定されています。
その賃貸借契約の性質上、賃借人は、自身で設置した物を取り除き、賃借に適した状況に復して返還することが当事者間で合意されているものと考えられるため、法は、賃借人にこのような義務を課しています。
先程、原状回復義務は収去義務であるということを述べた通り、賃借人は、自身で設置・変更を加えた物を取り除くことで足り、通常の使用や時の経過によって古くなったものをわざわざ新しいものに交換するなどの義務はありません。
賃貸借は、その賃借物を使用することを目的として締結されるわけですから、その使用によって賃借物が年々劣化・消耗するのは当然の前提とされており、その賃借物の価値減少分は賃料収入によってカバーされるべきものと考えられているのです。判例も同様の立場を明示しています(最判平成17年12月16日)。
このような賃貸借の性質から、賃借人は、通常の使用による劣化・消耗分を新品同様のレベルまで回復する義務はなく、社会通念上の通常の使用の限度を超えた劣化・毀損部分についてのみ修復・交換する義務が生じ、その費用は敷金から控除されることとなります。
例えば、時の経過に伴い白い壁紙(クロス)が薄黄色く変色してきた場合におけるクロス替えは、その原因は賃借人ではなく、壁紙を新しくして入居者を確保しやすくしようという賃貸人の意思によって行われるものであるため、かかった費用は敷金からは控除できないことになります。
一方で、子どもがクロスに落書きしてしまった場合や、絵画を飾るために壁に穴を空けた場合などは、社会通念上の通常の使用の域を超えるため、原状に戻すためにかかった費用は賃借人側に払う義務が生じ、敷金から控除されることとなります。
国土交通省が作成した原状回復ガイドラインでは、建物の損耗等を建物価値の減少と位置づけ、負担割合等のあり方を検討するにあたり、損耗等を3つに区分しました。
そしてガイドラインは、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、(2)の賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等については賃借人が負担すべき費用と考え、他方で、例えば次の入居者を確保する目的で行う設備の交換、化粧直しなどのリフォームについては、(1)−A、(2)−Bの経年変化及び通常使用による損耗等の修繕として賃貸人が負担すべきと考えています。
通常の使用に伴い生じた劣化・消耗についてまで賃借人は原状回復の義務を追うことはありませんが、賃貸借契約の中には、通常消耗についても賃借人の負担とするという特別条項がある場合もあります。
これらの特約は有効なのでしょうか。
このような事件について最高裁の判例(最判平成17年12月16日)があります。
判例は、まず、
(1)「賃借人が賃貸借契約終了により負担する賃借物件の原状回復には、特約がない限り、通常消耗に係るものは含まれず、その補償費用は、賃貸人が負担すべきであるが、これと異なる特約を設けることは、契約自由の原則からも認められる」と述べた上で、
(2)「建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常消耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない負担を課すことになる」から(その修繕費用は賃料として既に支払っているため)、「賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常消耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかにならない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約[1]が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である」としました。
そして、本件事案においては、契約書には右特約の成立が認められるために必要なその内容を具体的に明記した条項はなく、さらに右特約の内容を明らかにする口頭での説明もなかったとして、右特約の合意は成立しているものとすることはできないと判断しました。
上記の判例は、その後の判例でも踏襲されています。
裁判所は、契約自由の原則から、通常消耗についての賃借人の原状回復義務を特約で認めること(以下、通常消耗補修特約といいます)は可能であるとしていますが、通常消耗は賃貸借契約の本質上当然に予定されているところ、賃料とは別に原状回復の負担を課すことは賃借人にとって二重の負担となるわけなので、その特約を結ぶにあたっては、賃借人の理解を十分に得た上でないと契約自体成立しないという理論を採用しているのです。
もちろん、賃借人に通常消耗の原状回復を求める特約が成立したとしても、その内容の如何によっては、消費者契約法10条[2]や民法90条の公序良俗違反などによって無効になる可能性が考えられます。
大阪高判平成16年12月17日判決では、通常消耗補修特約が賃借人の目的物返還義務を加重するものであり、賃借人は自然消耗等による原状回復費用を予測することが困難であること、自然消耗の有無を争おうとすれば敷金返還請求訴訟を提起せざるを得ないことを挙げ、自然消耗等による原状回復費用を賃借人に負担させる特約は、契約締結にあたっての情報力及び交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害するものとして消費者契約法10条に違反し無効であるとしました。
賃借物件の明渡しのために、賃借物件の掃除を1日がかりでしたことがある方もいらっしゃると思います。
これも原状回復義務、つまり収去義務の一つであり、賃借人は、通常の清掃をした上で目的物を返還する義務を負っています。
ところが後日敷金返還の明細書を見てみたら、せっかく1日かけて掃除をして明け渡したのに、さらにハウスクリーニング代が控除されていた、なんてこともあります。
ハウスクリーニングは、賃貸人が次の賃借人を確保する目的で行われるものが多く、この場合には賃貸人の事情によって行われるものであるため、賃借人の原状回復義務を超えるものです。そのため、賃借人がその費用を負担すべきと考えられます。
しかし、前述したように、ハウスクリーニングは賃借人の費用において行うという特約が賃貸借契約書の中にあった場合はどうなるのでしょうか。
右のような特約があったからといって、必ずしも文言通りに賃借人がその費用を負担すべきということにはなりません。ハウスクリーニングが賃借人の社会通念上の通常使用の域を超える使用によって必要とされたものではなく、もっぱら賃貸人側の事情において行われる場合には、当然にそれは賃貸人の負担で行われるべきであり、これを賃借人の負担にすることは賃借人の予測を超えるものといわざるを得ません。
そのため、この様な特約を成立させるためには、少なくとも、
(1)賃借人が費用を負担することになる通常消耗の範囲が賃貸借契約自体に具体的に明記されていること、あるいは、
(2)賃貸人が口頭により説明し賃借人がその旨を正確に認識してそれを合意の内容としたものと認められることなど、ハウスクリーニング特約が明確に合意されていることが必要になってくると考えられます。
そして、もっぱら賃貸人の事情によって行われるハウスクリーニングを賃借人の負担で行うとする特約については、その成立ないし有効性は極めて限定的な場合に限られると考えるべきだと思います。
[1] この判例では「通常消耗補修特約」としています。
[2]「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規程の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」
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