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民事調停の役割、立ち位置

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民事調停の役割、立ち位置

神坪 浩喜

1 民事調停の役割-対話促進
「調停は、裁判所で行われる話し合いです。」
そのように私は調停が初めての当事者の方に説明します。それは、調停が裁判と違って、誰かに何かを決められるというものではなく、自分が主体となって自律的に紛争を解決するものであることをお伝えしたいからです。
 
調停は、裁判所という場所で行われるとはいえ、基本は「話し合い」です。調停案を出して、調停委員会が調停案を出して解決を促すこともありますが、当事者が話し合いをして合意ができるのであればそれが一番です。
調停は、当事者が相手との話し合いを通じて解決を選び取る自律的紛争解決手続です。それは、人は自由な存在であり、自分のことは自分で決めるという個人の尊重の理念から導かれるものです。紛争解決においても、当事者が自律的に決めるというのが基本です。民事調停においては、調停人が関与するとはいえ、あくまで当事者が主役であり、調停人は当事者が自律的に紛争を解決するサポート役です。調停委員が、解決案をおしつけたり、互譲を迫ったりすることは避けなければなりません。
ですから、当事者間の話し合い、対話を促進させることが調停人の役割と言えます。当事者同士の話し合いでは解決できないということは実際のところよくあることです。相手の主張に納得できないということもあれば、感情的にこじれて相手と直接話したくない、顔も見たくないという場合もあります。相手への不信感から、相手が言っていることは、全て正しくないと思いこむこともあるでしょう。コミュニケーションが不全となった状態です。
 
そんな時に調停人は、コミュニケーションを健全化させるのです。相手に対して、何を希望しているのか、それはどのような理由なのか、そして根底にある思い、真意は何なのかを聞き取って相手に伝えます。コミュニケーション、情報伝達が不全となった当事者の間に入り、情報の伝導をよくするのです。
そのためには、調停人が、当事者から真意と主張、理由といった情報をよく把握する必要がありますが、前提として、調停人が当事者から信頼を得る必要があります。当事者の心を開いてもらうと情報収集がスムーズに進みます。当事者から信頼を得ることはとても重要です。
私が当事者から信頼を得るためのポイントだと思うのは、「評価をせずに聴く」ということです。その当事者の話していることが、法的には話が通らないように思えても、一方的な思いこみだと感じたとしても、その方がそう考えていることは、その人にとっては真実なのですから、「それは違う」と否定評価することなく、まずはそのまま受け取るのです。
この「評価しない」ということは、実際にはなかなか難しくて、私もつい評価してしまいそうになりますが、調停人から「それは違う」と言われたときには、間違いなく当事者は、この調停人は「話を聞いてもらえない」とその心の扉を閉ざすことでしょう。評価しないというのは、マイナスの評価だけではなく「そのとおりだ」「それは酷い相手だ」とプラスの評価も含めてです。プラスの評価をしてしまうと、その当事者は、調停人が自分の味方になってくれたとその場では喜ぶでしょうが、調停人に信頼を寄せるというより心理的に依存し、自分の考えに固執し、相手の話に耳を傾けることが難しくなりがちで、対話が困難になります。
 
信頼関係を構築するには、積極的傾聴が効果的です。それは、単によく話を聞くだけではなく、心情にも配慮して当事者が話した内容を言い換えることができると、話し手は「わかってくれた」と信頼を寄せてくれるようです。その上で法的なフレームを念頭においた事実確認をしていきます。
対話促進のためには、お互いが伝えたいことを伝えて、風通しをよくすることが必要です。いわば情報の共有化を進める作業です。お互いが自分の考えと理由、その裏付け書類を出して、同じ情報を見るようにします。調停人も必要に応じて法的情報(法令解釈や判例の考え方等)を提供します。
相手の言い分をよく聞く、新しい情報を見ると、話し合いをする前に抱いていた印象が変化することもあるものです。情報を共有化した後で、「さて、この問題を解決するために、私たちはどうすればいいのでしょうか?」と解決案の検討に入ります。
原則として、解決案は当事者に考えてもらいます。調停人からいきなり調停案を出すことはできる限り控えます。情報の共有化をして、風通しをよくした上で、解決案を考えてもらいます。その時に、当初の希望のままで固執する方もおられますが、多くの方は、相手には相手の考えもあることも理解し、相手から出された証拠や調停人からの法的情報といった新しい情報を得たことから、当初の希望とは異なる提案をしてくれます。
 
解決案の検討にあたっては、一方が得をすれば他方が損をするという分配型の解決ではなく、当事者双方にとってメリットのある(解決統合型、ウィンウィン型)ができないかを柔軟に考えます。なかなか難しいところですが、ここが柔軟に解決可能な調停の醍醐味でもあります。
当事者双方そして調停人の三者で、当事者双方にメリットのあるよい解決案がないかを考える、知恵を出し合うというような空気になれば、理想的です。その時は、当事者双方がこれまでの「敵対者」から共に解決をしようとする「協力者」になり、紛争の自律的解決の気運は一気に高まります。
以上のように調停人は、当事者双方が紛争解決への「協力者」となれるようサポートするのが第一の役割と考えます。
 
2 調停案について
もちろん、当事者双方の対話だけでは、解決に至らないことも多いでしょう。裁判所で行われる調停として、法的判断に裏付けられた公平な立場の調停人の意見も聞きたいという当事者の期待もあります。
調停人は「評価をしないで、当事者間の対話を促進させる」ということを基本的なスタンスとすべきと考えますが、他方で当事者間の対話では合意形成が難しいときには、的確な事実認定を通じた法的な裏付けのある調停案の提示を積極的にすべきとも思います。当事者の話し合いで解決、合意形成に至らなかった場合は、そのまま不成立にしてしまうことなく、調停案による解決ができないかを試してみるのです。
当事者の対話を促進させることが、調停人の第一の役割ですが、当事者による対話でまとまらないときに、調停案が出せるように、評価に必要な情報は意識して集めておく必要があります。そして、タイミングがくれば当事者の個別事情をくみ取った合理的かつ公正で法的判断の裏付けのある調停案を提案します。
調停案は、的確な事実認定と法的な裏付けのある当該事案にそった合理的な解決案として提案はしますが、押しつけにならないように気をつけなければなりません。
「調停案を提示し当事者を説得する」と「説得」という表現が一般的に使われますが、調停案が正しいのだと押しつけるのではなく、これまでの話し合いをふまえて、中立公平な第三者で法的評価もできる調停委員会が、この紛争解決に向けてお勧めの案として提案します。
調停案はあくまで提案であり、当事者が主体的に選び取るものです。ですから調停案のとおりに決まる必要もなく、そうでなくても、調停案をたたき台にして、当事者双方で別の解決案で合意形成ができるとしたらそれはそれで望ましいことと思います。
 
3 民事調停の立ち位置について
紛争解決手段には、話し合いで解決するものと、誰かに決めてもらうもの(決められるもの)とがあります。対話と裁断、第三者の関与の有無を軸にして、「交渉、ADR、裁判」と表にまとめてみました。
民事調停が、様々な紛争解決手段がある中で、いったいどのように位置づけられるのか、その特徴と強みを把握して調停を実践していくことが、有用だと考えています。
調停は、対話と裁断の軸において、「対話」に位置します。「調停は話し合い」が基本です。他方で、「裁判所で、裁判官、調停委員が関与するもの」ですから、裁断、法的判断の意識も底流には流れています。そこから、当事者間の対話でまとまらないときに、調停案、さらに17条決定といった形で、裁断の要素が表に現れてきます。
当事者同士の話し合い、交渉との対比では、中立的な第三者が関与する点が異なります。当事者同士の話し合いでまとまらないときに、第三者を入れた話し合いをすればまとまることもあります。それは、二当事者の話し合いではまとまらない障害を、中立的な第三者が入ることで、取り除くことができるからです。その障害とは、一般的に言えば、情報伝達不足や感情的なもの、法的情報の不足等ですが、個別具体的事案において、何が対話への障壁になっているのか見極めて取り除くことが調停活動のポイントになるでしょう。
裁判との対比では、調停は「話し合い」だということです。裁判官に決めてもらうという他律的な裁断ではなく、自らが合意形成をめざす自律的主体的な紛争解決手段です。そこから、先に述べた対話促進を基本にした調停の進め方が導かれます。要件事実だけにとらわれない、法律で割り切らない、当事者の心情、事案の背景事情も含めた柔軟で当事者が納得できる解決が可能です。
中立的な第三者が関与する話し合い=ADRの中には、民事調停だけではなく、弁護士会で行われるような民間ADRもあります。民間ADRに対して、民事調停は司法型ADRと位置づけられます。民間と異なり、裁判所という公的機関で、中立的な第三者には裁判官、調停委員が協同して関与するという特徴があります。
調停調書には、判決と同じ強制力が付与されます。その特性から、法的判断に裏付けられた公平かつ合理的な解決が期待されます。また一般調停委員は、豊富な社会経験を有していますので、その経験に裏打ちされた当事者の心情に配慮した事情聴取や的確な事実認定、解決案の策定が期待できます。
民事調停は、中立的な第三者が関与する話し合いであるという「自律的な対話」をベースとしつつ、いざというときは的確な事実認定と法的判断をふまえた解決案を提示することもあるという「裁断型」の側面も活かして紛争解決を図る手続です。自律対話型と裁断型の両者をあわせたハイブリッド型と言えるかも知れません(但し自律対話型があくまで基本です)。また一般調停委員の豊富な社会経験と健全な良識をもとに、当事者の心情に配慮し、柔軟な解決が可能な紛争解決手段です。
当事者の自律性を重視しつつ、法的な評価も可能な民事調停の紛争解決手段としての役割は、価値観が多様化している状況において、これからますます大きくなるだろうと思っています。

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このほか、調停委員側の視点から問題解決に心がけるコツなどもお話しています。

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