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大阪北部地震で被災された方へ(地震相談Q&A)

弁護士の神坪浩喜です。

このたびの大阪北部地震で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

東日本大震災及び熊本地震のときに作成した「地震相談Q&A」をもとに改訂いたしました。

※大阪府大阪市、豊中市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、茨木市、寝屋川市、箕面市、摂津市、四条畷市、交野市及び三島郡島本町について、災害救助法の適用がありました。

今後、被災された方には、罹災証明が発行され、仮設住宅や応急修理制度、障害物の除去等の行政の支援があるかと思います。おそらく生活再建支援法の適用もあるかと思います。

余震も続いているかと思いますので、まずは身の安全を守ること、落ち着きましたら、片付けたり修理する前に、現況を写真でとっておかれてください。生活再建支援金や義援金、地震保険、また損害賠償等で必要になるかも知れませんので。情報が入りましたら、随時更新してまいりたいと思います。

相談窓口

※弁護士に法律相談を希望される方は、

大阪弁護士会の法律相談センターに問い合わせてみてください。電話06-6364-1248

https://soudan.osakaben.or.jp/about/center.html

※大阪弁護士会では6月25日から、大阪北部地震の被災者を対象に地震に関する無料電話相談を行うとのことです。

電話番号は06(6364)2046。受付時間は日曜と祝日を除く午前10時〜午後4時。

近畿経済産業局では、平成30年大阪府北部を震源とする地震に係る災害に関して、大阪府大阪市、豊中市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、茨木市、寝屋川市、箕面市、摂津市、四条畷市、交野市及び三島郡島本町に災害救助法が適用されたことを踏まえ、被災中小企業・小規模事業者対策を行います。

平成30年大阪府北部を震源とする地震に係る災害に関する特別相談窓口
産業部中小企業課(06-6966-6024)

http://www.kansai.meti.go.jp/2chuusyou/soudan/30fyosakahokubujishin.html

 

Q1 地震で壊れた家屋の解体・撤去費用を、行政が負担してくれないの?

 熊本地震のとき熊本市では、罹災証明で半壊以上の被害と判定された家屋等について、所有者からの申請に基づき、熊本市が解体・撤去を行いました。今回の地震でもその可能性があるかと思います。

Q2 地震で自宅が壊れてしまったが,何か受け取れる給付金はあるの?

A 生活再建支援法適用地域になりますと「生活再建支援制度」で,住宅の被害の程度や住宅の再建方法に応じて最大300万円の支給があります(住宅が全壊や解体で建設・購入した場合-損害の程度に応じてもらえる基礎支援金が,全壊で100万円,住宅の再建方法に応じてもらえる加算支援金が,建設・購入で200万円)。損壊の程度によって、もらえるかどうか(半壊、一部損壊ではもらえません)、もらえる金額に差が出てくる(全壊で100万、大規模半壊で50万)ことから、片付ける前に損壊の程度を写真に残しておきましょう。

大規模半壊とは、住家の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表し、その住家の損害割 合が40%~50%のものをいいます。

 基礎支援金:全壊で100万円、大規模半壊で50万円

  半壊、一部損壊はなし。塀が壊れた場合等もありません。

 そこで、罹災証明書によって、「大規模半壊」以上とされるかが、問題となってきます。

 以上のとおり、半壊以下は、支援金はありませんが、地震保険をかけている場合や義援金については、大規模半壊には至らなくてもお金が給付される可能性はあります。

借家の場合にも制度の適用があり受給できます。借家人の場合,原則として加算支援金を受け取ることはできませんが,大家が修繕を行わず,賃借人が自己費用で修繕を実施した場合には,例外的に加算支援金がもらえることもあります。ただし,事業所や工場の場合や別荘,投資物件には適用がありません。加算支援金について,被災された場所とは別の県や市町村で,住宅を建設したり,賃借した場合にも適用があります。申請期間は、基礎支援金が災害発生日から13ヶ月以内、加算支援金が37ヶ月以内となっています。

 詳細については,市町村にお問い合わせ下さい。

※単身世帯の場合は,支援金の額は4分の3となります(最大225万円)。

  ※申請には罹災(りさい)証明書,住民票等が必要です。

 ② 地震で,住宅が壊れてしまい,応急修理によって居住が可能になる場合に,応急修理を行う場合には,「住宅の応急修理制度」について,一世帯あたり最大57万6000円の援助を市町村から受けることができます(熊本地震のときの例です。市町村から業者に直接修理費が支払われます)。仮設住宅を利用しないことが要件となる(応急修理をうけると仮設住宅の利用ができなくなる)のでご注意ください。詳しくは,市町村にお問い合わせ下さい。

 

Q3 罹災(りさい)証明って何?応急危険度判定と同じものなの?

A 罹災(りさい)証明とは,地震で発生した「住宅」の被害の程度を証明するため,市町村が発行するものです。生活再建支援制度の支援金の申請,義援金の分配,損保会社等への保険金請求,住宅支援機構等からの低金利融資,仮設住宅や公営住宅への入居についての優先順位,住宅の応急修理制度の利用,税金や学費の減免などで,必要となる書類です。被害の程度は,市町村が,屋根や柱,外壁などの被害状況をチェックし,被害があれば「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」と認定されます。

市町村からチェックを受ける前に,修理をする場合には,住宅の被害の程度がわかる写真を撮っておきましょう。

罹災証明と応急危険度判定とは,別のものです。応急危険度判定は,二次災害を防止するために,市町村が,建物の傾き,構造物の落下,地盤沈下などを総合的にみて,「危険(赤)」「要注意(黄)」「調査済み(緑)」の貼り紙を建物にして,「危険」の建物内には入らないように求めるものです。ですから,「危険」の赤紙が貼られているからといって,罹災証明が受けられるとは限りません。

 対象は、住家(店舗兼住宅を含む)で、カーポート、門戸、倉庫、家財は対象外です(カーポート、家財等については被災証明が発行されるようです)。罹災証明は、借家(賃貸住宅)の場合も発行されます。

 住宅以外の建物である工場,店舗,事業所について被害があった場合にも,罹災証明が発行されるようです。

 ※高槻市の罹災証明についての問い合わせ先

高槻市 総務部 資産税課
高槻市役所 総合センター 1階
電話番号:072-674-7143

 

※茨木市HP 被災建築物応急危険度判定の実施について

http://www.city.ibaraki.osaka.jp/kikou/toshiseibi/kyojuuseisaku/okyukikenndohantei.html

 

Q  罹災証明の被害認定が「半壊」とされたが納得がいかない。どうすればいいの?

A 罹災証明書の発行は,まず1次調査(屋根,基礎の割れ・傾斜等の外観目視調査)に基づいて行われ,被災者からの申請があれば,2次調査(内部立入調査)をすることとなっています。片付ける前に、被災状況を写真に撮っておきましょう。罹災証明書と地震保険とでは査定基準が異なることを理解した上で,それでも被害認定の内容に不服がある場合には,再調査の申し立てができます。ただし,その場合,被災者からの訴えの内容が精査されることなどから,再調査まで時間がかかる場合があります。また,原則として申請者の立会いが必要とされています。

再調査の際に被害状況を説明する観点から,損壊部分を撮影した写真を残しておきましょう。また建築士に,損壊部分を見てもらって,専門家の目から見ても,損壊の程度が半壊にとどまらないということであれば,その旨の意見書を書いてもらっておくといいでしょう。詳細については,市町村にお問い合わせください。

 

○賃貸借

Q5 地震で借りている住居が使えなくなったが,賃料はどうなるの?敷金は返してもらえるの?

A 賃借物の使用が客観的に不可能な場合(避難勧告で住めない場合も含む)は,賃料は支払う必要はありません。原状回復をすることもないので,未払賃料がなければ,敷金も全額返してもらえます。これは,賃貸借契約書に「不可抗力により居住不能となった場合には敷金は返還しない」というような特約条項があっても同様です。

 

Q6 では,住居の一部が壊れている場合には,修理を大家に要求することができるの?修理してくれない場合,賃料を負けてもらうことはできるの?

A一部損壊で,必要な修繕であり,修繕可能であれば,修理を賃貸人(大家)に要求することができます。修繕してくれないのであれば,使用収益できない割合に応じて賃料の一部支払を拒むことができます。

ただし,使用収益できない割合の判断は難しいので,賃貸人と協議することなく一方的に自分の判断で金額を決め,減額した家賃を支払った場合,賃貸人との間で契約解除等の紛争が生じることも考えられるので,注意が必要です。まずは,賃貸人に修繕や賃料減額の申し入れをしてみましょう。もし賃貸人と話し合いがまとまらない場合には,弁護士に相談しましょう。

※借家が地震で全部壊れた場合,賃貸借契約は当然に終了しますが,借地の場合(借りている土地に建物を建てている場合)には,地震で建物が全部壊れても借地権は消滅しません。

 

Q7 一部損壊なのに,大家から,とり壊すから,立ち退いて欲しいと言われている。立ち退かなくてはいけないの?

A修繕が可能で,かつ過大な修繕費用がかからない場合には,原則として立ち退く必要はありません。しかし,立ち退き要求に正当な理由があるときは,契約期間の定めがある場合には期間満了時に,定めがない場合には解約通知到達の6か月後に立ち退かなければなりません。正当な理由の有無は,賃貸借の期間の定めの内容,建物が壊れている程度,修繕にかかる費用と修繕によって延びる耐用年数,立ち退きによって受ける借主の不利益,立退料支払いの有無やその金額など,いろいろな事情を総合して判断されることとなります。このうち,立退料は,貸主の側にも当該建物を使用する必要性がある場合に正当な理由を補完する要素とされており,立退料を支払うことで正当な理由ありとされることがあります。したがって,賃貸人(大家)と立退料や再築後の建物への入居の可否のことも含めて,話し合いをされることをお勧めします。話し合いがまとまらない場合には,中立的な第三者を交えて話し合いをする簡易裁判所の民事調停の活用もご検討下さい。

 

Q8 借りている住居が地震で一部壊れた。大家から,修理のために1か月くらい退去して欲しいと言われたが,一時退去しなければならないの?

A 修理のために退去が必要であれば,修理期間中は,一時退去しなければなりません。

 賃貸人(大家)は,賃貸物の保存に必要な行為としての修理をしなければならないとともに,修理することができ,賃借人は,それを拒むことができないのです。もし,修理をしなければ危険な状態にもかかわらず賃借人が一時退去を拒否した場合には,賃貸人から賃貸借契約を解除されるおそれがあります。また,賃借人としては,賃貸人に対して,一時退去に伴う引っ越し費用や仮住まいの賃料を請求したいところかも知れませんが,それもできません。なお,一時退去期間中の賃料については,賃借人は支払う必要はありません。

 

○分譲マンション

Q9 住んでいる分譲マンションの水道管が地震で壊れてしまった。どのように修繕すればいいの?誰が修繕費用を負担するの?

A マンションには,居室内等の専有部分と共有部分に分けられますが,専有部分の修繕は各戸の所有者(区分所有者)において,その費用と負担で修繕を行わなければなりません。ですから,水道管の専有部分(本管の分岐点から-普通は専用メーターから各戸内への部分)が壊れた場合には,自分の費用で修繕しなければいけません。共有部分の水道管が壊れた場合には,規約をもとに,各区分所有者が集まった集会での話合いによって修繕方法や予算,費用分担が決められることになります。費用分担は,規約に別段の定めがない限り,共有部分の割合(=専有部分の床面積の割合で決める)に従って,全ての区分所有者が負担することになります。

 

○仕事

Q10 ① 地震後,勤務先から自宅待機を命じられた。ただし,招集したらいつでも出勤できるようにと言われた。その間の給料は支払われるの?

② 地震により事業ができないから,一時的に休業するとだけ言われた。この場合の給料は支払われるの?

A ① この場合は,招集に応じなければいけないという拘束があるため,「休業」にはあたらず,通常に給料が支払われます。日給月給制でも完全月給制でも給料は全額支払われます。計画停電のため通勤困難な遠隔地の社員に自宅待機を命じているケースが報道されていますが給料は全額払うケースが多いようです。

② ①のような拘束がないので「休業」にあたりますが,会社側の休業を命じる理由いかんによって給料が支払われるかどうかが異なります。

まず,地震で事業所自体が損壊し,営業継続が物理的に不可能となったなど,やむをえない理由がある場合は,使用者に責任がある休業とはいえないので給料も休業手当も受けられません。

この場合,特例措置として,一時的な休業であっても失業とみなして雇用保険の失業給付をするという制度があります(特例給付)。ただし,この特例による給付を受けると,それまでの雇用保険加入期間がゼロになり,また一からのやり直しとなるため,勤続年数が長い方にとっては,不利益が生じる場合もあります。これに対して,建物や施設には被害はないが配送困難や注文の減少のため休業を命ずる場合は,やむをえない理由があるとまではいえず,原則として休業手当(平均賃金の6割以上)の支払義務があると考えられます。

労働者を休業させる事業主に対しては,一定の要件を満たせば,休業手当の一部を補填する雇用調整助成金等の助成金が支給されます。熊本労働局職業安定課職業対策課分室(096-312-0086)にお問い合わせ下さい。

 

Q11 自宅待機や一時休業中,アルバイトはできるの?

A 会社からの招集にいつでも応じなければいけないという拘束のある,いわゆる「自宅待機」の場合,勤務時間と同様に扱われ,会社より給料を支払われるべき場合にあたるので,原則としてアルバイトは認められないでしょう。

 これに対して,会社自体が事業を行うことができず休業している場合,その期間中は会社の拘束を受けませんが,実際には就業規則で兼職禁止を定めている場合が多いので,アルバイトは就業規則違反になる可能性があります。特にライバル会社で働く場合は問題があります。事前に雇主に確認した方がいいでしょう。雇主は弊害がない場合は認めるべきで,認めない場合は権利濫用とされます。

 

Q12 今回の地震で,仕事中に,地震により作業所が倒壊したことで,被害(死亡やけが)にあった場合に,労災保険は適用されるの?

A 適用されます。

 労災保険の適用には,災害と業務との関連性(業務起因性)が要件とされていますが,厚労省は,「勤務中に地震に遭い,けがをされた(死亡された)場合には,通常,業務災害として労災保険給付を受けられる。」と表明しています。ただし,仕事外の私的な行為をしていた場合は除きます。勤務中には,勤務中に地震が発生し,避難行為や救助行為を行っている最中に被害にあった場合も含みます。また,通勤中に被災した場合も,勤務中の被災と同様,労災保険が適用されます。

労災認定されれば,亡くなられた場合には,遺族に遺族年金や一時金,葬祭料が,けがをした場合には,治療費や休業補償が支払われるなどの補償がありますので,仕事中に被害に遭われた場合には,積極的に労働基準監督署に労災の請求をしてください。 

○損害賠償

※原則は,以下のとおりですが,まずは話し合いをしてみましょう。

Q13 私の自宅敷地内にあるブロック塀が地震で隣家の敷地に倒れてしまい,隣人から撤去を求められています。私が撤去しなければならないのでしょうか。撤去費用も私が負担しなければならないのでしょうか。

A 隣人から撤去を求められたならば,撤去しなければならないでしょう。なぜなら,ブロック塀の所有者が撤去する必要があると解されているからです。また,その費用も,原則として所有者が負担することになります。

これは,相手方に自己の所有物が原因で妨害状態を生じさせている以上,その状態を改善するための費用を所有者として当然に負担しなければならないと解釈されているためです。

もっとも,そもそもブロック塀の設置工事を施工した業者が手抜き工事をしていたといった事情があれば,自分が支払った費用をその施工業者に請求することができます。

 

Q14 家のブロック塀が倒れて隣家を壊してしまったが,賠償しなければならないの?

A 今回の地震で,震度6弱を記録した場所は「不可抗力」ということで,賠償責任が生じないとされる可能性が高いのですが,ブロック塀に構造上の欠陥があったり(設置の瑕疵),きちんと管理していなかった場合(保存の瑕疵),責任を生じる可能性があります。例えば,周囲の他のブロック塀が壊れていないような場合は,こうした瑕疵が疑われます。

  なお,実態は「不可抗力」による倒壊であったとしても,安易に「不可抗力」であるとして,隣家の被害を無視するような態度をとると,隣家との関係が険悪なものとなってしまう可能性もありますので,状況によっては,一定の費用負担をすることも検討されてみてください。

 ※同様の問題です。

 ・自宅の屋根瓦が今回の地震で落ちて,隣の人の住宅や自動車を壊してしまった。

 ・自宅マンションの水道管,温水器が今回の地震で壊れて,階下の人の家財道具を水浸しにしてしまった。

 ・自宅敷地の擁壁が今回の地震で崩れて,擁壁の下の住宅を壊してしまった。

 

15 地震時,マンションの一室を賃借していた。上階の居室の洗濯機の排水ホースが外れて漏水し,それが原因で居室の一部が水浸しになり,家具が被害を受けるとともに,ホテルでの一時住まいを余儀なくされた。上階の住人またはマンションの所有者に対して,家具の補修・買替費用やホテル代,精神的苦痛の慰謝料を請求できないの?

A ①不可抗力で誰にも落ち度がない場合

 → 請求するのは難しいと思われます。

但し,入居の際,地震保険に加入していれば,保険金が下りる場合があります。加入の有無や契約内容をご確認下さい。

②上階の住人やマンションの所有者に落ち度があった場合

 → 上階の住人のホースの取付け方に問題があった,マンション自体の給排水設備の管理が不十分であった等,上階の住人やマンションの所有者に落ち度がある場合,落ち度のある人に対して,家具の補修・買替費用(但し,経年による減額はある)の弁償,漏水により居住が不可能となった場合には適正金額のホテル代の請求もできる場合があります。

慰謝料についても認められる余地はありますが,裁判例では,認められる慰謝料金額は必ずしも高額ではないようです。

 

Q16 自宅建物が地震で傾いてしまった。次に大きな地震がくると倒れて隣家を壊してしまいそうだが,どうすればいいの?もし,隣家を壊してしまったら,賠償しなければならないの?

A まずは,市町村に災害の拡大を防止するよう要請してみてください。市町村が人手不足等で対応できない場合には,熊本県建築士会(0120-330-712)にお問い合わせの上,建築士に自宅建物の状況を見てもらってください。その上,危険防止のために何らかの措置が必要であれば,措置をとってください。また,隣家には,家屋の状況を説明しておいてください。そのまま放置したために,自宅建物が倒壊して,隣家を壊してしまったり,住人をけがさせてしまった場合には,賠償責任が生じる可能性があります。

 

Q1  地震で建物が倒壊した。建物の耐震性や土地の造成に問題があった場合,損害賠償請求ができるの?

A 土地や建物に瑕疵(欠陥)があったのならば,売主や建築業者に,契約上の瑕疵担保責任や不法行為責任を問題として,損害賠償請求できる可能性があります。

 もっとも,瑕疵担保責任にせよ不法行為責任にせよ,欠陥が原因で損害が生じたこと(損害との因果関係)が必要になり,それを証明することは必ずしも容易ではありません。耐震対策の予想を超えるような大規模な地震があった場合,欠陥が原因で損害が生じたことの立証は難しく,損害はいわゆる「不可抗力」によるものとして,売主や建築業者への損害賠償請求は認められない場合が多いと思われます。

 欠陥と損害との因果関係が認められるかは,一般論としていえば,過去の裁判例をみますと,震度7以上の地域では認められず,震度5以下の地域では,建物の構造や建築時期にもよりますが,認められる可能性が高いでしょう。震度6の地域はボーダーラインです。もっとも,損害賠償請求ができるかどうかは,個別具体的な事例ごとに判断され,また全ての損害分担を建築業者あるいは施主に負わせるといったオールオアナッシングの解決ではなく,双方でお互いに一部を損害分担する等,話し合いを通じた柔軟な対応が望ましいと思われます。

 当事者間で話し合いがつかない場合には,建設工事紛争審査会や裁判所の民事調停を利用されることをお勧めいたします。

 

Q18 自宅は無事だが,隣家の建物が,地震で傾いている。次の余震で倒れてきて,自宅が壊されないか心配だ。どうすればいいの?自分で隣家の建物を撤去してもいいの?

Aまずは,隣家の人に,補修工事や撤去を求めてください。隣家の人が対応してくれない場合や隣家の人の所在がわからない場合には,市町村に危険な建物の除去等の災害拡大の措置をとるように要請してみてください。隣家の人も市町村も対応してくれない場合には,危険な建物を撤去したり,予防措置をとることを認める裁判所の仮処分決定を経て,自力で建物の除去や修理をすることになるでしょう(専門的なことなので弁護士に相談してください)。しかし,そのような時間もない,今にも倒れそうだという緊急性のある場合には,自分や家族の生命・身体や財産を守るために,必要最小限の範囲であれば,自分で撤去・修理することもやむを得ないでしょう(その場合,民法上「緊急避難」として隣家の人に対して建物を撤去したことの損害賠償責任を負わなくてすみます)。なお建物撤去の緊急性や必要性があることを証拠として残しておくために,建物の状況を写真に撮影しておいてください。

 また,修理や解体撤去にかかった業者への工事代金領収書を保管しておきましょう。二次災害防止のために必要な工事であれば,それは本来,隣家の人が対応すべきことだったといえますので,後日,隣家の人にかかった費用の請求ができます。また,市町村に対応を依頼して,応急措置が必要であったのに市町村で対応できなかった場合には,市町村から補償が受けられる可能性もあります。

 

○支払,借金

Q19 リース物件が地震で壊れたのだが,それでもリース料は支払わなければならないの?

A 通常特約によって,ユーザー側が規定損害金(=リース料)を支払わなければならないとされているので,ユーザー側がリース料を支払うのが原則です。ただし,リース業者側で保険をかけてリスク分担している場合もありますので,まずはリース業者へ連絡をしてみてください。

 

Q20 中古自動車を買う契約をしたのだが,車の引き渡しを受ける前に,地震で壊れてしまった。売買代金を支払わなければならないの?

A まずは,売買契約書を確認してみてください。契約書において,「引渡し完了前に,不可抗力で滅失した場合には,その損害は,売主の負担とする」というような文言があれば,引渡し前ですから,代金を支払う必要はないでしょう。

  そのような文言がない場合には,売主,買主のどちらが自動車滅失のリスクを負担するか,大変難しい問題です。法律の文言をそのまま解釈すると,売買の目的物である中古自動車が滅失しても,買い主は代金を支払わなければならないとも考えられます。しかし,中古自動車の引渡前であれば,実際に中古自動車に支配を及ぼしている売り主にリスクを負わせるべきであるから,買い主は代金を支払う必要は無いとする見解も有力です。いずれにしろ,売主と話合いの上,もしも,話合いがまとまらないようであれば,中立的な第三者を交えて話合いをする簡易裁判所の民事調停の活用もご検討下さい。

  なお,購入した自動車が新車の場合には,契約の効果に影響を及ぼさないのが通常です。即ち,代金支払義務は存続する一方,新車引渡を請求できます。

 

Q21 住宅ローンが残っている家が地震で壊れてしまったが,ローンはどうなるの?

A 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を活用することによって、住宅ローンの免除・減額を申出ることが可能です。

ガイドラインに基づいて金融機関と合意が成立すれば,信用情報(いわゆるブラックリスト)に記載されることなく、既往のローンの一部(場合によっては全部)を免除してもらうことができます。つまり,ガイドラインを利用することで再建のための新たな借り入れがしやすくなるというメリットがあります。また、その際に、財産の一部をローンの支払いにあてずに手元に残しておくことが可能です。制度の詳細,利用方法等は、ローンの借り入れ先にご相談下さい。借り入れ先が銀行の場合、全国銀行協会相談室(0570-017109)へ問い合わせることも可能です。

今後の生活再建のことを考えると地震保険金等でローンが支払える場合でも、すぐに支払わないで、ガイドラインを利用して、住宅ローンの減免ができないか検討した方がよいでしょう。

  手続は、国の補助により、弁護士等の「登録支援専門家」による手続支援を無料でうけることができます。

●自然災害による被災者の債務整理ガイドラインhttp://www.zenginkyo.or.jp/abstract/disaster-guideline/

※収入の見込みがなくて,とても返済が難しいということであれば,債務整理や自己破産を検討してみてください(法テラス0570-078374)による弁護士費用援助の制度もあります)。自己破産をしても全ての財産を,債権者への配当の対象として,処分しなければならない訳ではありません。東日本大震災では、ある程度の財産は「自由財産」として保有可能とされていました。具体的には,災害弔慰金,災害障害見舞金,被災者生活再建支援金,義援金は自由財産としてお手元に置いておけるという運用がなされています。また,破産開始決定後に得た財産については,処分する必要はなく,保有することができます。

※もしも,地震で亡くなった方がいて,その方が,住宅ローンを支払っていた場合には,「団体信用保険」によって,住宅ローンがなくなることがあります。住宅ローンを借りていた公庫や金融機関にお問い合わせ下さい。

 

○保険

生命保険について

生命保険会社では保険料の払込猶予、保険金・給付金等の簡易迅速支払等、被災された皆さまへの特別取扱を行っております。詳細につきましては、ご加入されている生命保険会社にお問い合わせください。

Q22 車が地震で壊れてしまったが,保険金はでるの?

A 地震・噴火・津波特約がなければでません(ほとんどの方がでません)。 

※ただし保険については,保険会社の約款の内容にもよるので,各保険会社にお問い合わせ下さい。

 

Q23 車が滅失した場合,既に支払った保険料はどうなるの?

A自動車保険解約時に,滅失時以降の保険料が返還されます。

 

Q24 自動車保険を解約した場合,注意すべきことは?

A自動車保険の解約によって,保険料の支払を免れると同時に,同保険に付帯している他車運転特約や人身傷害補償特約等も失効します。

 なお,将来自動車を購入し,再び保険に加入する際には,当然には従前の等級が維持されるわけではありません。従前の等級を継承するためには,「中断証明書」が必要となります。「中断証明書」は,自動車保険解約時に保険会社に交付申請して下さい。

 

Q25 生命保険や地震保険をかけていたか分からないが,調べる方法はあるの?

A 生命保険については,「災害地域生保契約照会センター」(0120-001-731)へ,地震保険については,「損害保険協会照会センター」(0570-001830)にお問い合わせください。

 

Q26 地震で,自宅や家財が壊れた。建物・家財に地震保険をかけていたが,どれくらい保険金がでるの?修理費や建て替え費用がでるの?

A 地震保険でもらえる保険金の額は,損害の程度と契約金額によって決まりますので,実際の修理費や建て替え費用がもらえるわけではありません。家財についても同様で,実際の代替物の購入費用がもらえるわけではありません。

  地震保険の契約額は,火災保険契約額の30~50%の範囲内と制限され,また建物5000万円,家財1000万円が上限となっています(有価証券や価格が30万円を超える貴金属などは補償対象外です)。その範囲内で,損害認定によって受け取れる保険金の額は変わってきます。損害認定は,全損,半損,一部損の3区分で,支払額はそれぞれ契約額の100%,50%,5%となっています。

  建物の損害認定は,建物の基礎,柱,壁など主要構造部の損害が建物の時価に占める割合,または消失,流失した部分の床面積の割合で診断されます。

一方,家財の損害認定は,個々の家財の損傷程度によらず,家財を大きく5つに分類し(①食器陶器類,②電気器具類,③家具類,④身回品その他,⑤衣類寝具類.),その中で一般的に所有されていると考えられる品目の損傷状況から家財全体の損害程度を算出して,診断されます。

※損害保険会社の損害認定について,不服がある場合には,弁護士に相談してみてください。

 

Q27 火災保険だけで地震保険に入っていないと何ももらえないの?

A 火災保険だけでは,保険金はもらえませんが,保険(共済)によっては,少額の見舞金がもらえる場合があります。一度,ご加入の保険会社,共済に確認してみて下さい。


損害保険ジャパン日本興亜
 0120-250-119
 0120-727-110 24時間・365日


東京海上日動火災保険
0120-119-110 24時間・365日

三井住友海上火災保険
0120-258-189 24時間・365日

どこの損害保険会社に加入していたか不明な場合は、日本損害保険協会 自然災害損保契約照会センターにお問い合わせください。

【受付時間】
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※法テラスの扶助相談が利用できる方は、そちらをご利用していただく形になります。

※お電話やメールでの相談は実施しておりませんので、ご了承ください。

※取扱い地域

仙台市、富谷市、大和町、利府町、大崎市その他宮城県全域

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〒981-3133 宮城県仙台市
泉区泉中央1丁目23-4
ノースファンシービル5階

仙台市営地下鉄「泉中央駅」から徒歩約4分

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