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平成20年8月3日(日)
皆さん、こんにちは。
今日は、仙台も夏らしい一日です。
さて、先日今年のサマースクールも無事終了しました。
メインの模擬裁判では、若手の弁護士さん達が中心となって一生懸命準備したおかげもあって、中高生の皆さんに楽しんでいただけました。子ども達に、素敵な夏の想い出をプレゼントできたことと思います。
サマースクール午前中は、中学、高校別れての法教育授業で、私は中学生の部を担当しました。
私にとっては、チャレンジングな内容で、中学生(うち中学1年生が半数以上)相手に「民主主義と立憲主義」特に、大人でもなじみのない、「立憲主義-憲法の役割」について、話しをしました。
クラス内での掃除当番の決め方といったことに関連させながら、「みんなで決めてはいけないこともあること」、民主主義が制限されることもあるということを話しました。
しかし、やはり、難しすぎましたか・・・というか、私自身、深いところで理解していないためか、分かりやすくその本質を伝えることができませんでした。反省です。
もっと話しの内容や授業の流れを練る必要があると痛感しています。
しかし、あらためて、中学生、さらに小学生でも、民主主義や立憲主義の本質を体感覚で理解してもらえる授業をやるぞ、と私の目標が明確になってきました。
目指す頂は高く、道は険しいぞ!
これからのために、先の授業の台本を整理、加筆しました。よろしければ、お付き合い下さい。
皆さん、こんにちは!
今日は、法と民主主義の話をします。
「法」「民主主義」、そんな言葉を聞くだけで、分からない、難しそう、堅苦しい勘弁して、なんて思ってしまう人も多いかも知れませんね。
法律には、どんなものがあるか知っている?
キミ達も人の物を盗んだら、警察に捕まって、裁判にかけられて処罰される、刑務所に行くというのは知っているよね。
これは、国の法律で「人の物を盗んだら、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定められているからなんだ。刑法のことだね。
刑法は、いろいろな犯罪と刑罰を定めている法律です。人を怪我させたり、人を殺したりすると、刑務所に行くことになりますよ、ときめています。
どうして、こんなきまりがあるのだろう。もし、刑法がないとどうなるだろう。
人を怪我させたり、人の物を盗んだりしても刑務所に行かなくてもよい、処罰されないとしたら、どうなるだろう?
そんな法律がなくても、自分は人を怪我させたり、盗んだりはしないよ。と思うかも知れないね。
うん、確かに、キミ達のように、人として、してはいいこといけないことが分かって、悪いことをしない人ばかりなら、刑法はいらないかも知れない。
でも、世の中にはいろいろな人がある。残念ながら、わがままで自分さえよければいい、他人のことを考えない悪い人も中にはいる。もし、刑法がなかったら・・・
うん、今よりもっと人の物を盗んでしまう、人が増えるかも知れないね。別に、人の物を盗んでも警察に捕まらないんだし、盗っちゃえ、なんて安易に盗ってしまうかも知れないね。盗まれた人が困るからと思うのではなくて、盗むと警察に捕まるから、自分は盗まないという人も結構いると思う。
自分の物、特に大切な物が、他人が勝手に持っていくのって嫌だよね。人が盗るなら、じゃあ自分も誰かから、物を盗ってしまおうなんて考えるようになるかも知れない。そうすると、そこでは盗ったり、盗られたりという世界になって、結局力の強い悪い奴がたくさん物を盗ったりして、無茶苦茶な世界になりそうだよね。それは、困る。安心して暮らせない。
そこで、刑法は、みんなが安心して暮らせるようにと、「特に人に迷惑をかけてしまうことをした人は、これこれの処罰を受ける」例えば「人の物を盗んだ者は、懲役10以下か50万円以下の罰金に処する」と刑法は定めた。
こういった法律があって、実際に、この法律に違反した人、人の物を盗った人が警察に捕まり処罰されることで、多くの人は、「人の物を盗ると警察に捕まるし、盗らないようにしよう。」と、人の物が欲しくなっても、盗ったりしないで、自分の行動をコントロールするんだね。これで、人の物を盗る人は、少なくなるでしょう。多くの人は、警察に逮捕され、刑務所に行くなんて、嫌だからね。
法律というのは、人の自由を制限しているといえる。人の物を勝手に盗りたい人にとっては「盗む自由」を制限されているとも言える。これは、盗まれる人のこと、物を持っている人の所有権(この物は私のものという権利)を保護しようと考えているからなんだ。自由があるといっても、人に迷惑をかけていいわけではない。人に迷惑をかける自由は保護されないのです。制限されます。
法律は、人同士の自由と自由とがぶつかり合ったとき、調整をしているものといえます。
僕は、大きな声で歌を歌いたいんだ、大音響でエレキギターを弾きたいんだ、といって、みんなが寝静まった真夜中の住宅街で、大声で歌ったり、大音響でエレキギターを弾いちゃいけないよね。寝ている人の迷惑になる。そんなのダメだよと法律は定めてある。
法律は、人と人との自由や権利を調整して、社会秩序をたもっているんだね。お互いに安全に、快適に暮らせるようにしている。
では、そんな法律は、どうやって作られるのだろう?どのように作られるのがいいのだろう?
特定の人、例えば王様や将軍が法律を決めるのってどうだろう?
昔は、王様や将軍といった特定の人が、法律を作っていた時代があったんだ。
昔、こんな感じの法律があったんだよ。
・キリスト教を信じてはならない。信じた者は処罰する
・動物(特に犬)を虐めてはならない。虐めた者は死刑とする。
・王様の政治を批判してはならない。批判した者は処罰する。
どう思う、こんな法律?
王様や将軍といった特定の人がものごと、法律を決めるのは問題があるというのは、多分キミ達にも感覚的に分かると思う。
どうして法律を特定の人が決めるといけないのだろう?
その王様が、自分の贅沢だけを考える悪い王様だったら、自分が贅沢したいので、税金をたくさんとるという法律を作るかも知れない。また、わがままな王様なら、国民から自分がやっていることを批判されたら嫌だということで、国の政治を批判する人をかたっぱしから刑務所に入れてしまえ!なんていう法律をつくってしまうかも知れない。
その王様が、結構いい人で、名君で、国民のためを思って法律を作ろうとしたらどうだろう。
例えば孔子(論語を書いた昔の中国の思想家)のような立派な人が、王様になって国を治めればいいのだろうか?
でも、いくら立派な王様であっても、王様が、国民それぞれがどんなことを考えているのか、何を望んでいるかはよく分からないだろう。王様が、国民のためによかれと思ってやったことでも、実際には国民にとって迷惑なこともあるだろう。国民にとっては余計なお世話というものもあるだろう。ピントがずれた政治を行ってしまうかもしれない。
それに、王様がいい人か悪い人かどうかで変わってしまうのって、人次第ということで、怖いよね。どんな王様になるかで、国民の生活も変わってきてしまう。そしてどんな王様になるかは、運命次第。歴史を勉強してくると分かるけど、その時の王様や将軍の考え方や好みなんかで、180度政治が変わってくることもある。
では、国のきまりは、王様とか特定の人が決めるのではなくて、どのようにして決めるのがいいのだろうか?
ところで、キミ達が、クラスで、何かを決める時って、みんなどうしている?例えば、文化祭のクラスの出し物ってどうやって決めている?
クラスの誰か、例えば学級委員とかが、適当に決めている?そんなことはないよね。みんなで話し合って決めていると思う。みんなでいろいろと意見を出して、ある人の意見がみんないいと思えばそれに決まる。
もし、みんないろいろと話し合っても、意見が分かれることがあれば、どうやって決めている?
じゃんけん?くじ引き?それもあるかも知れない。
でも、きっと手をあげてもらったりして、投票してもらったりして、数が多い方に決めることが多いよね。黒板に「正」の字を書いたりして。
つまり多数決で決める。それが、話し合ったことが生かされると思うから。いろいろ話し合った後に、くじ引きで決めるなんて、話し合った意味がないよね。
話し合いによって、いろいろな意見がでて、みんなの多くが、それがいいというのになるのが、納得がいくだろう。 たいてい、みんなにとってそれがいい決まりになることが多いだろう。
では、どうして、キミ達は、みんなで話し合って決めているのかな?
それは、自分たちのことだから。自分たちに関することは、自分たち以外の誰かに決められたくないから。自分がそのグループにいる以上、自分の意見もいえるようにしたいから。
自分たちが従わなければならないルールならば、自分の意見も聞いてよと当然思うだろう。自分が知らないところで、勝手に決められたくないだろう。押しつけられたくないだろう。
勝手に決められたルールなんて、とルールを守る気にならないかも知れないね。
そして、みんなそんな風に思っていたら、決めたルールを守らない人が多くなって、ルールが骨抜きになってしまうだろう。
誰だって、自分の全く手の届かないところで決められたルールを押しつけられるのって嫌だよね。納得いかないよね。
1組のクラスの出し物を2組が決めるなんておかしいよね。
「自分たちのことは、自分たちで決める。」
ルールをつくる人たちとルールを守る人が一致していることが大切なんだ。
これを難しい言葉でいうと「自己統治(じことうち)」なんていう。
そして、自分たちで決めたルールならば、そのルールを大切にして、守ろうという気になるだろう。
それに、ある人が考えるより、みんなで意見を出し合って、話し合っていった方が、普通は、みんなにとっていいきまりになることも多いだろう。
キミが思いつかないことを別の友達が発言することもあるだろう。友達の発言を聞いていて、キミがいい案を思いつくこともあるだろう。
だから、みんなで意見を出し合いながら、話し合って決めた方がいいんだね。
いくら王様が頭のいい人であったとしても、みんなで力をあわせて考えたことには、及ばないことがほとんどだろう。
国のあり方、法律も同じこと。
・自分たちのルールは、ルールに従う自分たちで決めるべきということ
・みんなで意見を出し合いながら話し合った方が、いいルールができやすいこと
・自分たちがきめたルールだからこそ、そのルールを尊重し、守ろうとすること
だから、「みんなのことは、みんなが話し合って決める」ことにしたんだ。
これを、「民主主義」という。そして、世界の多くの国では、この「民主主義」の考え方を基本にして、国の政治のあり方を決めている。
それは、民主主義が、ものごとの決め方として、現在考え得る最良の決め方として、受けとめられているからなのです。
そして、国の政治以外でも、キミ達の普段の生活の中ででも、クラスとかの人の集まりに入っている以上、この民主主義がベースになっていると思う。
でも、国でも、身近な集まりでも、「民主主義」、みんながよく話し合って、ものごとを決めることが、本当に実践されているかどうかは、いろいろあって、形だけの民主主義ということが結構多かったりするんだ。
例えば、話し合いもせずに、他の意見もろくにきかずに、すぐに多数決で決めてしまうとかいうのは、「民主主義」を実践しているとは言えないだろう。判断のもとになる必要な情報を共有しないままで、決めてしまうというのも、やはり「民主主義」になっていない。
「形だけの民主主義」ではなく、「本当の民主主義」を実践するためには、単に多数決で決めさえすればいいという訳ではなくて、必要な情報を共有し、一人一人が意見を言える機会があって、みんなでよく話し合いをするという、みんなが努力する必要があるんだね。
ちょっと、今度のクラス会、私達は「本当の民主主義」でやっているかな?と、そんな目で見てごらん。
つづく
』
それでは、また。
はじめて法を学ぶ大学生にも。
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(目次)
はじめに
第1章 そもそも法って何?~いろいろな人がいる社会の中で幸せに生きる仕組み
1 法と幸せ
2 ルールはなぜ必要?
3 よいルールの条件とは?
4 正義って何?
コラム)桃太郎は正義の味方か?
第2章 僕たちは憲法のもとに生きている
1 民主主義と立憲主義のはなし
(1)民主主義って何?
(2)民主主義って多数決のこと?
(3)憲法は、国家を縛る~立憲主義
(4)表現の自由がない世界
(5) 民主主義と立憲主義-個人の尊厳をまもる
2 権力分立~権力の濫用を防ぐためのシステム
3 ジョン・ロックのはなし~国家、自然権、法の支配
4 国民主権って何?
(1)主権が国民にあるってどういうこと?
(2)18歳になったら選挙権行使!
5 基本的人権の尊重~憲法は人権のカタログ
第3章 裁判員になっても大丈夫?~刑事手続
1 弁護士はなぜ「悪い人」の弁護をするの?
2 逮捕されてしまった!その後どうなる?
3 犯罪と刑罰のはなし
(1)犯罪って何だろう?
(2)どんな刑罰があるのだろう?
(3)死刑制度について考えてみよう
(4)なぜ刑罰が必要なのだろう?~刑法の目的
4 刑事手続
(1)いきなり「刑務所行き」にはできない
(2)なぜ、被疑者、被告人には黙秘権があるの?
5 検察官の役割
6 弁護人の役割
7 無罪推定の原則~疑わしきは被告人の利益に
8 もしも君が裁判員に選ばれたら~裁判員として知っておきたいこと
(1)裁判員とは?
(2)裁判員になるまで
(3)裁判員として審理に立ち会う
証拠に基づく事実認定を行う
量刑~被告人に言い渡す刑をどうする?
第4章 大人になる前に知っておきたい契約・損害賠償のこと~契約、市民生活に関する法
1 契約って何?
2 どんな契約も守らないといけないの?
(ア)契約の拘束力にも例外がある
(イ)契約を解約できる場合
1)未成年者取消権
2)詐欺取消、強迫取消
3)債務不履行契約解除
4)合意解約
5)クーリングオフ
3 悪徳商法に騙されないために
1)ワンクリック詐欺
2)デート商法
3)マルチ商法
4 借金を返せなくなったらどうなる?
(1)お金を借りることの意味
(2)友達から「保証人」になってと頼まれたら
(3)もし借金に困ったら
5 働くときのルール ワークルール
(1)立場が弱い従業員を守るワークルール
(2)働く前に知っておきたいワークルール
1)労働時間
2)賃金
3)休暇
4)解雇のルール
(3)ブラック会社に気をつけよう
(4)セクハラ・パワハラで困ったら
6 損害賠償のはなし
(1)どんなときに損害賠償請求ができるのか?
(2)「損害の公平な分担」という考え方
第5章 交渉法を身につけよう!
1 交渉って何?
2 交渉のコツ
(1)準備が大切
(2)交渉の場で
①感情的にならずに冷静に伝える
②論理的に伝える
③相手の言い分をきく
④自分の言い分と相手の言い分とを整理する
⑤解決案を考える
第6章 トラブルに巻き込まれたら
1 弁護士に相談してみる
弁護士の探し方
いい弁護士の見分け方
2 調停というもめごと解決法もある
第7章 裁判所ってどんなところ?
1 裁判の役割
2 裁判傍聴に行ってみよう
3 裁判官という仕事
(1)裁判官の責任は重大
(2)裁判官ってどんな人?
(3)裁判官のやりがい、苦労
第8章 法的なものの見方・考え方を身につけよう!~大人の知的技能
1 主張(意見)に理由をつける
2 事実と意見を分ける
3 事実の中で、どういう事実が重要になるかを見極める
4 事実については、裏付ける証拠がないかを確認する。
5 論理的思考とは
おわりに
「個人の尊重」-何かを大切に思う気持ちに違いはないこと
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