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成文硬性憲法!~憲法改正のハードルが高い訳

こんにちは。

弁護士の神坪浩喜です。

 

今日は、中学生向けの法教育授業として、憲法改正について、書いてみました。

 

でも、今日のお話は、中学生だけではなくて、多くの大人の方も知らないことかなあと思っています。ちょっと難しいかも知れませんが、よろしければ、おつきあいください。

 =================

 

突然ですが、みなさん、「成文硬性憲法(せいぶんこうせいけんぽう)」の意味ってわかりますか?

 

おそらくご存じないですよね。初めて聞いた方も多いと思います。

 

なんとなく、硬派な響きですよね(笑)。

 

 でも憲法改正を考えるにおいて、ぜひとも知っておきたい大切な知識ですよ。

 

日本国憲法って、どのような手続きで改正されるか、知っていますか?

 

日本国憲法第96条に定めがあります。たった1条です。

 

1項

この憲法の改正は、各議員の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。

この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 

つまり、

①国会には、衆議院と参議院がありますから

衆議院、参議院それぞれすべての議員(出席した議員ではなく)の3分の2以上の賛成

 

②国民の投票の2分の1以上の賛成

が必要という、とてもハードルが高い条件をクリアしなければなりません。

 

法律については、衆議院と参議院の議決、つまりそれぞれの議院において、出席議員の過半数で成立するということになっているのですが、それと比べると、憲法ってやたらと改正の要件が厳しいですよね。

 

改正のハードルが高い憲法を「硬性憲法(こうせいけんぽう)」といいます。

ハードルが低い憲法を「軟性憲法(なんせいけんぽう)」といいます。

 

日本国憲法は、ハードルが高いので「硬性憲法」です。

ハードルの高さもいろいろですが、我が国の憲法は、結構な高さです。

 

また、憲法の条項を文章できちんとさだめていますから、「成文憲法(せいぶんけんぽう)」です。

憲法として条文の形にしていない憲法を「不文憲法」といいます。

 

そこで、日本国憲法は、憲法という法典があって、その文言を改正することはハードルが高い

「成文硬性憲法」ということになります。

 

このように、改正のハードルが高いこともあって、日本国憲法が施行されてから長い間一度も改正がされていないのですね。

 

でも、そもそもなぜ、こんなに日本の憲法は改正されにくくなっているのでしょうか?

その時代状況にあわせられるように、法律と同じように改正されやすくした方がいいのでは??

柔軟性があった方がいいのでは??

 

そう思われるかも知れませんね。

 

でもね。憲法というのは、「変えにくい」というところに価値があるのです。

 

法律って、どこが決めますか?

 

・・・国会議員で構成される国会ですよね。

 

国会議員はどのように選ばれるのでしょうか?

 

・・・国民(選挙民)による投票で、多く票を集めた候補者が国会議員に選ばれます。

 

国会で、法律はどのように決められるのでしょうか?

 

・・・議論のあと、最終的には、国会議員の多数決で決められます。

 

これが、民主主義の帰結なのですが、これはすなわち、その当時の多数派の考えによって法律が作られる、法律の改正できるということです。

 

極端な話、多数派の自分たちにとって利益となって都合のよいこと、少数者のとっては不利となる法律も数の力に任せればできちゃうわけです。

 

でも憲法は、法律でも奪うことはできない、基本的人権を定めています。

 

 例えば、憲法では「表現の自由」が保障されています(21条)。

この表現の自由が、基本的人権として憲法によって保障されている以上は、もし時の政府が、政府の政策を批判している人を指して「政府を批判するとはけしからん」と、出版を差し止めたり、逮捕したりして、表現の自由を制限することは、憲法に反して許されません。

 

現在でも、どこかの国って、権力者や政府の批判をすれば、捕まって処罰されそうですよね。怖いですよね。

 

憲法に反する法律は、「違憲」として無効とされます(98条)。

ちなみに、「違憲無効」と判断するのは、国会や行政(=多数派)から切り離された裁判所です(81条)

(学校でならった「司法権の独立」って覚えていますか?児島惟謙という立派なひげのおじいさんの写真が教科書に載っていたかな?)

 

これは、憲法が、国家権力から国民の基本的人権を守ることを目的とし、特に、少数者の人権を保護することを大切にしていることから、

「多数派で好き勝手に人権(特に少数者や批判する人)を制限してはダメだよ」

と、国家権力(=時の政権)に縛りをかけているからです。

 

この考え方を「立憲主義(りっけんしゅぎ)」といいます。

 

でも、その憲法が簡単に、改正できたらどうでしょう。

例えば法律のように、出席した国会議員の過半数とかで改正できたらどうでしょう。

 

国家権力を持つ側が、「憲法の縛りが邪魔だなあ」と感じれば、憲法に従うより

自分を縛っている憲法自体を変えてしまいますよね。

 

そうなると、「国家権力を縛って、国民、特に少数者や批判者の基本的人権を護る」

という憲法の目的が達成できなくなってしまいます。

 

なので、厳しい、厳しい改正の要件が、課せられているのですね。

 

「成文硬性憲法」となっているのは、意味があるのです。

 

憲法は、「法」の最高法規で、「法律」とは別物です。

国会で、民主主義のプロセスを経て決められた法律も、憲法に違反すれば無効とされます。

 

憲法がなぜ「最高法規」として法の頂点に君臨するかといえば、それが、多数者、権力でも奪えない基本的人権を護ることを目的としているからです。

 

日本国憲法の第十章に「最高法規」という章があります。

 

その97条の規定を読んでみましょう。

 

「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」

 

うわ、なんだか、決意表明のようなすごい条文ですよね。

 

 「この憲法で国民に保障する基本的人権は、これまでいろいろと人類が大変な目にあって、

努力してやっと保障されたとても大切なものだから、現在だけでなく将来の国民に対して、

永久不可侵のものとして、託されているからね。だから最高法規なんだよ。

権力者はちゃんと守ってね。国民も権力者任せにせずに、託された権利をしっかり守ってね。

そこんとこヨロシク!」

 

と言っているのです。硬派なんです(あ、訳しかたが硬派でないですね)。

 

憲法改正を考える場合には、このような憲法の目的、価値をおさえた上で、改正することが、はたして「国民、特に少数者の基本的人権を護ること」につながるかどうかを軸に考えてみてください。

 

そして日本国憲法が「成文硬性憲法」になっている意味について、この機会に理解しておいてくださいね。

 

※関連のお話です。

 

民主主義と立憲主義のはなし

 

憲法と法律って同じようなもの?

 

 

 

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(目次)

はじめに

第1章 そもそも法って何?~いろいろな人がいる社会の中で幸せに生きる仕組み

1 法と幸せ

2 ルールはなぜ必要?

3 よいルールの条件とは?

4 正義って何?

コラム)桃太郎は正義の味方か?

 

第2章 僕たちは憲法のもとに生きている

1 民主主義と立憲主義のはなし

(1)民主主義って何?

(2)民主主義って多数決のこと?

(3)憲法は、国家を縛る~立憲主義

(4)表現の自由がない世界

(5) 民主主義と立憲主義-個人の尊厳をまもる

2 権力分立~権力の濫用を防ぐためのシステム

3 ジョン・ロックのはなし~国家、自然権、法の支配 

4 国民主権って何?

(1)主権が国民にあるってどういうこと?

(2)18歳になったら選挙権行使!

5 基本的人権の尊重~憲法は人権のカタログ

 

第3章 裁判員になっても大丈夫?~刑事手続

1 弁護士はなぜ「悪い人」の弁護をするの?

2 逮捕されてしまった!その後どうなる?

3 犯罪と刑罰のはなし

(1)犯罪って何だろう?

(2)どんな刑罰があるのだろう?

(3)死刑制度について考えてみよう

(4)なぜ刑罰が必要なのだろう?~刑法の目的

4 刑事手続

(1)いきなり「刑務所行き」にはできない

(2)なぜ、被疑者、被告人には黙秘権があるの?

5 検察官の役割

6 弁護人の役割

7 無罪推定の原則~疑わしきは被告人の利益に

8 もしも君が裁判員に選ばれたら~裁判員として知っておきたいこと

(1)裁判員とは?

(2)裁判員になるまで

(3)裁判員として審理に立ち会う

   証拠に基づく事実認定を行う

   量刑~被告人に言い渡す刑をどうする?

第4章 大人になる前に知っておきたい契約・損害賠償のこと~契約、市民生活に関する法

1 契約って何?

2 どんな契約も守らないといけないの?

(ア)契約の拘束力にも例外がある

(イ)契約を解約できる場合

1)未成年者取消権

2)詐欺取消、強迫取消

3)債務不履行契約解除

4)合意解約

5)クーリングオフ

3 悪徳商法に騙されないために

1)ワンクリック詐欺

2)デート商法

3)マルチ商法

4 借金を返せなくなったらどうなる?

(1)お金を借りることの意味

(2)友達から「保証人」になってと頼まれたら

(3)もし借金に困ったら

 

5 働くときのルール ワークルール

(1)立場が弱い従業員を守るワークルール

(2)働く前に知っておきたいワークルール

1)労働時間

2)賃金

3)休暇

4)解雇のルール 

(3)ブラック会社に気をつけよう

(4)セクハラ・パワハラで困ったら

 

6 損害賠償のはなし

(1)どんなときに損害賠償請求ができるのか?

(2)「損害の公平な分担」という考え方

 

第5章 交渉法を身につけよう!

1 交渉って何?

2 交渉のコツ

(1)準備が大切

(2)交渉の場で

①感情的にならずに冷静に伝える

②論理的に伝える

相手の言い分をきく

④自分の言い分と相手の言い分とを整理する

⑤解決案を考える

 

第6章 トラブルに巻き込まれたら

1 弁護士に相談してみる

 弁護士の探し方

 いい弁護士の見分け方

2 調停というもめごと解決法もある

 

第7章 裁判所ってどんなところ?

1 裁判の役割

2 裁判傍聴に行ってみよう

3 裁判官という仕事

(1)裁判官の責任は重大

(2)裁判官ってどんな人?

(3)裁判官のやりがい、苦労

 

第8章 法的なものの見方・考え方を身につけよう!~大人の知的技能

1 主張(意見)に理由をつける

2 事実と意見を分ける

3 事実の中で、どういう事実が重要になるかを見極める

4 事実については、裏付ける証拠がないかを確認する。

5 論理的思考とは

 

おわりに

「個人の尊重」-何かを大切に思う気持ちに違いはないこと

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