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民主主義と立憲主義1−多数決で決めてはいけないこと

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平成20年9月3日(水)

 

皆さん、こんにちは。


早いもの8月も終わり、9月になりました。いかがお過ごしですか。

まだ日中は、まだ暑いですが、晩は虫の声が心地よいです。
スーパーに行くと、梨やぶどうが並べられています。秋限定のビールが売り出されていました。

新しいパッケージのビールを見かけると、妻の機嫌とり(?)に、とれあえず1本カゴに入れてしまいます。
もう、秋なんですねー。

 

さて、サマースクール法教育授業のつづきです。

 

前に「民主主義のはなし」で、物事のきめかたとしては、みんなのことは、みんなでよく話し合って決める。意見が分かれたら、最後は多数決だけど、安易に多数決で決めないことも大切だということをお話しました。

 

それでは、どんなことでも、みんなで多数決で決めてよいのでしょうか?
まず、クラスの中でのことを考えてみましょう。次のワークシートを考えてみてください。
(中学生・高校生対象ですが、よろしければそれ以外の方も少し考えてみてくださいね。)

この問題は、「はじめての法教育Q&A」法教育推進協議会編 にあった教材をベースに私が手を加えたものです。

 

ワークシート(1)

Q:次にあげることは、クラスみんなで多数決によって決めてよいことか、決めるべきではないことか考えてみましょう。
※多数決(たすうけつ)
  会議などで、賛成者の多い方の意見によって物事を決めること

1 文化祭でのクラスの出し物
      多数決によって決めてよい          多数決では決めるべきではない
      その理由は                                                                  だからです。

 

2 クラスの生徒一人ひとりの所属するクラブ活動
      多数決によって決めてよい          多数決では決めるべきではない
      その理由は                                                                  だからです。
   

3 教室の掃除当番の決め方
      多数決によって決めてよい          多数決では決めるべきではない
      その理由は                                                                  だからです。

 

① 文化祭のクラスの出し物で、「ブレーメンの音楽隊」の劇をすることになりました。そこで、ロバの役をA君にしようと多くのクラスメイトが言い出しました。A君は、「絶対嫌だ!」といっています。多数決でA君に決めてしまってよいのでしょうか?
      多数決によって決めてよい          多数決では決めるべきではない
      その理由は                                                                  だからです。

② 教室の掃除当番を、女子だけで交替にやってもらうという意見が出されました。多数決で女子だけで交替にやってもらうということに決めてよいのでしょうか?
      多数決によって決めてよい          多数決では決めるべきではない
      その理由は                                                                  だからです。

 

いかがでしょうか?これを多数決で決めるのはどうかな?まずいんじゃないの?というのもあったかと思います。

 

解答は
多数決によって決めていいものは、1と3
多数決では決めるべきではないものと 2と①、②
となります。

 

「1 文化祭でのクラスの出し物」と「3 教室の掃除当番の決め方」は、クラス全体に関すること、クラスに属する生徒全員に関することだから、みんなで、多数決で決めてよいことがらになります。

きまりをつくる人達ときまりに従う人達とが一致していますよね。

 

では、1組のクラスの出し物を2組で多数決で決めるのはどうかな?

当然、決めるべきではないことだよね。

1組の人にとっては、「何で2組が決めるんだ!」と思うでしょう。ここでは、きまりを決める人達(2組の生徒)ときまりに従う人達(1組の生徒)とがズレているので、2組で決めるべきことではないのです。 自己統治になっていないわけです。

 

では、「2 クラスの生徒一人ひとりの所属するクラブ活動」はどうでしょう?

例えば、B君は、野球部に入りたいと思っていたのに、クラスの多数決で、「B君、キミは、ちょっと太っているから相撲部に入りなさい。」なんて決められるなんて、何かおかしいですよね。余計なお世話だという感じがします。

 

どのクラブ活動に入るのかは、それぞれ個人に関することで、他の誰かが、決めるべきことではないですよね。クラス全体に関わることではない。個人の判断にまかされるべきこと。

 

個人一人ひとりの判断にまかされるべきことについては、その個人が属するクラスにおいても、多数決では決めるべきではないのです。

 

では「1 文化祭でのクラスの出し物」について、みんなで、多数決できめてよいということでした。そこであるクラスは出し物を「ブレーメンの音楽隊」と決めました。そこで配役(ロバ役、犬役、猫役・・・)を決めるのですが、配役について、「ロバは絶対嫌だ!」といっているA君に、みんなで多数決で、「ロバ役にはA君がぴったり!」なんて、A君をロバの役にしてしまってよいのでしょうか(①の問題)?

クラスの出し物の配役をどうするかは、クラス全体の問題です。

 

そうすると、クラス全体に関することなんだから、クラスのみんなの多数決で決めていいようにも思えます。

でも、それでいいのかなあ?

 

A君以外の人達が、結束して「ロバ役はA君がいい」と票を固めれば、多数決でいいんだとするとロバ役はA君になってしまう訳です。

 

ひょっとしたら、周りからみるとロバ役にはA君がぴったりなのかも知れない。みんなはA君の演技力を評価してロバ役をA君に、と言っているのかも知れない。

 

でも「絶対嫌だ!」というA君の気持ちを無視してもいいのかな?

 

もちろん、ロバ役にはA君がぴったりだと思うから、A君よかったらなってくれないかな?とお願いするのはいいでしょう。それでA君が、引き受けてくれるなら、めでたしです。

 

でも「絶対嫌だ!」といっているA君に対して、「そんなのA君の我がままだ!」「そんなA君の気持ちなんて関係ねえ。」と周りのみんなで、多数決で、無理矢理、A君に決めてしまうのは、何かおかしいよね。

 

自分がA君の立場だったら、何ともいえない気分になります。
一人ひとりの個人を大切にしないことになります。多数派で、特定の人に不利益を負わせることになります。

だから、多数決では決めてはいけないことだと思います。

 

②の教室の掃除当番を、女子だけで交替にやってもらうと多数決で決めるのもおかしいですよね。そのクラスでは男子の数が女子の数より多く、多数決で決めるのであれば、男子が結束すれば、女子だけに掃除当番を押しつけるというきまりをつくることができるわけです。

 

数の少ない女子だけに負担をかけるもので、公平ではありません。多数派の男子が、少数派の女子に一方的に不利益を与えるもので、おかしいですよね。平等でない。

 

だから、これもやはり、こんなきまりを多数決で決めることはできません。

 

「多数決でも決めていけないこともある」

「特定の個人や少数者に不当に不利益を与えたり、個人の判断にまかされるべきことについては、多数決で決められない」

ということを押さえておいてくださいね。

 

もしキミ達が、クラス会とかで、何かを決めようとするとき、

「これってみんなで、多数決で決めていいことなのかな?」

「これを決めることで、特定の誰かに、不利益を押しつけようとしていないかな?」

ということをどこか頭の片隅においてくださいね。

結構、難しいことかも知れませんが、とても大切なことですよ。

 

では、国の場合はどうでしょうか?

国会で、多数決で決めてはいけないことってあるのでしょうか?

国会はどんな法律でもつくっていいのでしょうか?

国会が、作ってはいけない法律ってあるのでしょうか? 

 

つづきはまた。

はじめて法を学ぶ方に。

 

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(目次)

はじめに

第1章 そもそも法って何?~いろいろな人がいる社会の中で幸せに生きる仕組み

1 法と幸せ

2 ルールはなぜ必要?

3 よいルールの条件とは?

4 正義って何?

コラム)桃太郎は正義の味方か?

 

第2章 僕たちは憲法のもとに生きている

1 民主主義と立憲主義のはなし

(1)民主主義って何?

(2)民主主義って多数決のこと?

(3)憲法は、国家を縛る~立憲主義

(4)表現の自由がない世界

(5) 民主主義と立憲主義-個人の尊厳をまもる

2 権力分立~権力の濫用を防ぐためのシステム

3 ジョン・ロックのはなし~国家、自然権、法の支配 

4 国民主権って何?

(1)主権が国民にあるってどういうこと?

(2)18歳になったら選挙権行使!

5 基本的人権の尊重~憲法は人権のカタログ

 

第3章 裁判員になっても大丈夫?~刑事手続

1 弁護士はなぜ「悪い人」の弁護をするの?

2 逮捕されてしまった!その後どうなる?

3 犯罪と刑罰のはなし

(1)犯罪って何だろう?

(2)どんな刑罰があるのだろう?

(3)死刑制度について考えてみよう

(4)なぜ刑罰が必要なのだろう?~刑法の目的

4 刑事手続

(1)いきなり「刑務所行き」にはできない

(2)なぜ、被疑者、被告人には黙秘権があるの?

5 検察官の役割

6 弁護人の役割

7 無罪推定の原則~疑わしきは被告人の利益に

8 もしも君が裁判員に選ばれたら~裁判員として知っておきたいこと

(1)裁判員とは?

(2)裁判員になるまで

(3)裁判員として審理に立ち会う

   証拠に基づく事実認定を行う

   量刑~被告人に言い渡す刑をどうする?

第4章 大人になる前に知っておきたい契約・損害賠償のこと~契約、市民生活に関する法

1 契約って何?

2 どんな契約も守らないといけないの?

(ア)契約の拘束力にも例外がある

(イ)契約を解約できる場合

1)未成年者取消権

2)詐欺取消、強迫取消

3)債務不履行契約解除

4)合意解約

5)クーリングオフ

3 悪徳商法に騙されないために

1)ワンクリック詐欺

2)デート商法

3)マルチ商法

4 借金を返せなくなったらどうなる?

(1)お金を借りることの意味

(2)友達から「保証人」になってと頼まれたら

(3)もし借金に困ったら

 

5 働くときのルール ワークルール

(1)立場が弱い従業員を守るワークルール

(2)働く前に知っておきたいワークルール

1)労働時間

2)賃金

3)休暇

4)解雇のルール 

(3)ブラック会社に気をつけよう

(4)セクハラ・パワハラで困ったら

 

6 損害賠償のはなし

(1)どんなときに損害賠償請求ができるのか?

(2)「損害の公平な分担」という考え方

 

第5章 交渉法を身につけよう!

1 交渉って何?

2 交渉のコツ

(1)準備が大切

(2)交渉の場で

①感情的にならずに冷静に伝える

②論理的に伝える

相手の言い分をきく

④自分の言い分と相手の言い分とを整理する

⑤解決案を考える

 

第6章 トラブルに巻き込まれたら

1 弁護士に相談してみる

 弁護士の探し方

 いい弁護士の見分け方

2 調停というもめごと解決法もある

 

第7章 裁判所ってどんなところ?

1 裁判の役割

2 裁判傍聴に行ってみよう

3 裁判官という仕事

(1)裁判官の責任は重大

(2)裁判官ってどんな人?

(3)裁判官のやりがい、苦労

 

第8章 法的なものの見方・考え方を身につけよう!~大人の知的技能

1 主張(意見)に理由をつける

2 事実と意見を分ける

3 事実の中で、どういう事実が重要になるかを見極める

4 事実については、裏付ける証拠がないかを確認する。

5 論理的思考とは

 

おわりに

「個人の尊重」-何かを大切に思う気持ちに違いはないこと

仙台市泉区泉中央の弁護士2名(弁護士神坪浩喜  弁護士林屋陽一郎)の法律事務所です。借金相談(債務整理・自己破産・個人再生・過払金返還請求)、離婚相談、相続相談、交通事故相談等の無料法律相談を実施しています。お困りの方は、
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