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個人の尊重-人格そのものを目的として尊重する

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こんにちは。


神坪浩喜です。



ハーバード大のマイケル・サンデル教授著の
「これから『正義』の話をしよう」という本を読んでいます。

ベストセラーになっていた本なので、既に読まれた方もおられるかと思いますが、これ、面白いですね!


私が取り組んでいる「法教育」に重なるお話でもあり、とても興味深く、参考になります。


その中の一つ、ドイツの哲学者イマヌエル・カントのお話。


カントは、道徳とは、ベンサムがいうように幸福やその他の目的を最大化するためのもの(功利主義)ではなく、人格そのものを究極目的として尊重することだと言っています。


日本国憲法の核心は、個人の尊重、すなわち一人ひとりを人として大切にすることでしたね。

それは、カントのいう、人格そのものを究極目的として尊重するということと同じです。


人格そのものを目的として尊重するということは、人を、かけがえのない人として尊重し、物扱いしないということです。


それは、何かの欲を満たすために、人を道具や手段として扱わないということです。
国家のために、人を駒として扱ったりしないということです。


カントは、人は理性的な存在であり、尊厳と尊敬に値するという考え方をベースにしています。


「私は人類、そしてすべての理性的な存在は、その都度の意志によって恣意的に使うための単なる手段としてではなく、
それ自体が究極目的として存在すると考える」


「汝の人格においても、あらゆる他者の人格においても、人間性を単なる手段としてではなく、つねに同時に目的として扱うように行為せよ」


ちょっと難しいですが、「理性的な存在」「目的」と「手段」というキーワードに着目してみましょう。


人は、どんな人も理性的な存在であること、人は自由に行動し、自由に選択する自律的な存在でもあること。
だからゆえに、その存在自体が、尊重されるということ

何かの手段や道具とされるのではなく、ただそれ自体が目的として存在するということ、そう扱われなければならないこと

カントは、そう言っています。


つまりは、どんな人も理性をもった人として、無条件で尊重されるべきと言っているのですね。


何か、きれい事っぽい?

そんなの非現実的?
人間って、欲もあるし、汚いところもあるし、理性的といわれても・・・
それに、とても悪いことをした人でも尊重するの?


う~ん。その気持ち、よくわかります。


でも、カントは、理性を強調していますが、人が欲で行動することを否定するものではありません。

人間は、確かに、快楽を好み、苦痛を嫌う感性的な生き物ではあります。
しかし同時に、理性的で自由な存在だ、と言っているのです。 また、現実がそうだと言っているのではなく、人は、理性的な行為を目指すべき、志向すべきだし、 それができる存在であると言っているのです。


他者や集団、国家から、自分が何かの目的のための道具や手段とされた時、個人は尊重されていません。


例えば、悪徳業者が、お年寄りからお金を巻き上げる目的で健康食品を法外な値段で売りつける時、お年寄りは、悪徳業者にとってお金儲けの「手段」とされてしまっています。


ある上司が、出世を目的として、部下がやってくれた成果を自分の成果にし、部下のミスは、もっぱら部下のせいにするような場合、その部下は、上司の出世の目的の「手段」とされています。


学校で、自分達がイライラするからと、誰かをいじめているとき、それは、その誰かを、自分たちのストレス解消の「手段」としています。


国家が、他国との戦争に勝つために、特定の人に犠牲を強いる場合、それは、特定の人たちを国家の勝利のための「手段」としています。

どうでしょう。


自分自身や自分が大切に思っている人が、誰かや組織、国家の「手段」「道具」として扱われたら、どうでしょう。
誰かの私欲を満たすための手段にされたらどうでしょうか。


そんなの絶対にイヤですよね。
悲しいですよね。
悔しいですよね。


私を、人として扱ってよ!モノのように扱わないでよ!
そう、叫びたくなります。


人をもっぱら「手段」として扱うとき、それは、個人の尊厳を踏みにじっているのです。
人を人として尊重していないのです。


カントも、もちろん「手段的」な要素、自分の欲を全く排除して人と接するなと言っているわけではありません。


実際のところ、「手段的」な要素をゼロにして、もっぱらその人を「目的」として接するということは滅多にないでしょう。なかなかできるものではありません。


商売で何かを売る場合、商品を売って対価としてのお金をお客さんからいただくこと、それを期待することは当然のことで、
それは何らやましいことではありません。
利益を得ようとすることは、道徳的に決して悪いことではありません。


カントが言っているのは、「汝の人格においても、あらゆる他者の人格においても、人間性を単なる手段としてではなく、
つねに同時に目的として扱うように行為せよ」

と「手段」として扱う要素があってもいいのだけど、同時に「目的」としても扱いなよ、もっぱら「手段」だけにするんじゃないよ、
と言っているのです。


人間は弱い存在です。不完全な存在です。どうしても苦痛を避けて、快楽を求めたくなります。
自らの欲に流されてしまいがちです。
そのことは、カントも前提にしているのです。


そして、人は、つい他者との関係において、誰かを自分の欲の充足のための「手段」としてしまいがちなのことを知っているからこそ理性を強調するのです。


人は欲に流されやすい存在ですが、同時に人は理性的な存在です。
生理的欲求をおさえて、他者の人格を尊重し自分自身をコントロールできる生き物です。
正しいことをしよう、誰かのために役に立とうと生きることができる素晴らしい生き物でもあるのですね。


自由な行動とは、自律的に行動すること、自律的な行動とは、自分が定めた法則に従って行動すること、そんな生き方を人はできるのです。


「人間は弱くて不完全なものだから、理性的な生きようとしないと欲に流されちゃうよ。つい欲に流されて、人を「手段」や「道具」として扱ってしまいがちになるよ。でも、理性的に自由に生きることは、できるのだからやろうよ。そんな生き方を目指して頑張ろうよ。人間って素晴らしい生き物なのだから!」


ということをカント先生は言っているのではないでしょうか。
(理解不足だったらごめんなさい)


そして、このカントの言っていることは、私が考える法教育がめざすものと重なっているのではないか!と思って、とても嬉しくなったのでした。

法教育の目的は、人は、自由に自分らしく生きることができる存在として、自分を大切にし、また他者をも尊重する、そして、自由に他者と温かなつながりを構築していく、自由に社会とつながりをもっていくそういう自律した人を育むものだと私は思っています。

人は、理性的に自由に自律的に生きることができる存在ですが、現代の日本社会において、実際のところ、そう生きている人はあまり多くないのが現実ではないでしょうか。


お互いに、心の余裕がなくて、誰かを、自分の欲の充足のための「手段」としがちになってしまい、ギスギスした関係になりがちなのではないでしょうか。

自由に自律的に生きることが、なかなかできにくい社会なのではないでしょうか。


だから、自由の自律的に生きることができる人を法教育によって育んでいく。
それが、人と温かくつながりながら、自由に生きることができる素敵な社会づくりにつながっていくのだと思っています。


多くの人が、自律的な存在として、自分も他者も尊重しつつ、自分らしく自由に生きることができる社会になるといいですね!



 

それでは、また。






※関連のお話です。                                
人を人として大切にする-個人の尊重

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